繊維製品消費科学
Online ISSN : 1884-6599
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ISSN-L : 0037-2072
64 巻, 12 号
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時辞刻告
解説
シリーズ「繊維産業におけるSX の取り組み」
シリーズ「SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けての消費を考える」
シリーズ「繊維産業〜川下分野〜におけるDX の取り組み」
報文
  • 鷲津 かの子, 上甲 恭平
    2023 年 64 巻 12 号 p. 736-749
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル フリー

    繊維構造骨格がセルロースである綿,レーヨン,ジアセテート,トリアセテートのようなセルロース系繊維のログウッド抽出染料液による染色・媒染挙動を調べるとともに,それら染色・媒染挙動におよぼす各繊維が有する染着サイトの内部環境の影響について考察した.その結果,無調整のログウッド抽出色素によって今回使用した全ての繊維の染色が可能であったが,親水性である綿やレーヨンでは低温域,疎水性であるジアセテートやトリアセテートは高温域での染着性が高く,各繊維の最適な染色温度は異なっていた.同じ親水性繊維である綿とレーヨンでも,温度上昇による染色挙動が異なっており,レーヨンの非晶凝集構造分子の集束性は綿よりも低いものと考えられた.一方,ジアセテートやトリアセテートは,低温時には染着可能な領域が形成されにくいが,温度上昇に伴ってセグメント運動が活発化する一部の領域がハイドロゲル化することによって高い染料親和性を有する緻密な染着領域となるものと考えられた.さらに,全ての繊維において鉄,銅,アルミを用いた90℃での媒染処理によって染着したログウッド色素は金属錯塩を形成するが,いずれの中心金属も染着領域を構成する分子鎖とは配位していないものと推察された. キーワード:セルロース繊維,天然染料,染色挙動,繊維内部環境,染色条件,媒染

  • 芳倉 虹子 , 望月 優菜, 榎本 雅穗, 白井 一彰, 解野 誠司
    2023 年 64 巻 12 号 p. 750-757
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル フリー

    本研究では,分散染料で染色可能な合成皮革の開発を目的に,ガラス転移温度(Tg)の異なるポリウレタン(PU)樹脂を用いたフィルムを作製し,フィルムの染色挙動と染色堅ろう性について検討を行った.また,あらかじめ分散染料で染色した銀面付き可染人工皮革にこれらのPU 樹脂をオーバーコートした際の染料移行防止性能とTg の関係を考察した.さらに,これらのPU 樹脂を銀面層樹脂として用いた合成皮革を作製し,その実用性評価として分散染料染色後に還元洗浄を行い,染色性と染色堅ろう性を評価した.その結果,染色温度別のPU 樹脂フィルムへの染着速度はTg に応じて変化し,低温染色においては低いTg を有するPU 樹脂の方が染着速度は速く,染着量も多かったが,染色温度100℃では,いずれも迅速に染着が進み,平衡染着量はTg の上昇に応じて高くなることが確認できた.また,PU 樹脂による染料移行防止性能の検討では,Tg の上昇に応じた染料分子の移行抑制が確認でき,合成皮革の銀面層として用いた検討においては,還元洗浄が可能であったTg の高いPU 樹脂について,染色性,染色堅ろう性ともに良好な結果が得られた.

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