本研究では , 衣服内の温熱的不快環境が脳賦活 , 自律神経活動および仕事効率に及ぼす影響を明 らかにすることを目的とした . 近赤外分光法 NIRS を用いて前頭前野における oxy-Hb 濃度を測定 するとともに , 心電図解析から自律神経活動を解析した . 被験者は健康な 20 歳代女性 12 人で , 有 効被験者数は 9 人であった .28℃ 50% RH の実験室内で , 不透湿性レインコートを用いて , 衣服 内環境を変化させた . 快適条件下および衣服内温湿度が高い不快条件下において , ストレス課題と して計算タスクを実施した . その結果 , 不快衣服内環境において ,Δoxy-Hb が増加した . 一方 , RRI を用いたローレンツプロットから導かれる種々の自律神経の指標から , 交感神経が優位 , 副 交感神経が劣位となり , ストレスが増加する傾向がみられた . 結論として , 不快衣服内環境におけ るストレス下での Δoxy-Hb の増加は , 仕事効率の改善に繋がらないことがわかった .