親水性の綿と疎水性のポリエステル繊維のメリヤス肌着材料を着用した場合の皮膚面から肌着材料を通しての水分移動現象を明らかにし, これらの材料の気孔率が異なる場合の水分移動現象についても検討した.
さらに, これらの肌着材料の水分移動特性と, 着用感との関係, 着用時の衣服最内層温度・湿度との関係をとらえるため着用実験と材料実験を行なった.
その結果, 高温高湿の環境条件 (30℃±2℃, 75±10%RH) のもとでの着用実験において, 肌着材料の水分移動特性と着用感の間には, 発汗量の個人差に基づく被験者間の差が大きくみられた.
肌着材料の水分移動特性は湿潤感と快適感に影響をおよぼし, 発汗量の比較的大きい被験者においては吸湿量, 吸水量, 吸水速度の大きい親水性の肌着材料ほど快適であること, 皮膚上に残留する水分量の少ないほど快適感が高いことなどが認められた.
衣服最内層温度・湿度は着用感の差異とは直接関係なく, また, 本実験に用いた材料の気孔率 (80~90%) の範囲では着用感に有意な差が認められないことが明らかになった.
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