氷厚は, 結氷面での熱収量に関する, 唯一の保存された情報である.しかるに, 従来氷厚の連続観測の資料がほとんどない (沢田, 1958).これは, 手軽な測器がなかったことが一因と思われる. ニクロム線と乾電池による, きわめて手軽な氷厚計が乾電池式簡易熱線氷厚計である.
この氷厚計は, 一定の長さのニクロム線を氷板とその下の水中に, おもりをつけて垂直に垂らしておき, 氷厚測定時に, 乾電池で数秒間通電して, 氷とニクロム線の凍着を一時的に解除し, ニクロム線を引き上げ, 氷面の上に出たニクロム線の長さを物指しで測って, 氷厚を求めるもので, 身近にある材料を使って, 簡単に自作できる.過去数年にわたって, 湖氷の成長速度の観測と低温室での氷の成長実験において, これを使用した結果, 優れた氷厚計であることがわかった.これによれば, その設置ならびに観測が容易であり, 結氷条件をまったく乱さずに, 氷厚の連続測定を正確に行える.
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