雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
39 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 福田 明治, 五十嵐 友一, 北寄崎 薫
    1977 年 39 巻 3 号 p. 109-116
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    3点曲げ変形をした氷単結晶の中央屈曲部に発生する再結晶粒の成長を映画にとって観察した.再結晶粒の面積S (薄板状の試片による2次元成長を表わす) と時間tの関係は成長初期を除くと, S=kt+Cとなった.面積成長速度kは扇形の再結晶領域の頂角θ'の増加関数で, Cは初期状態できまる.扇形の末端の成長境界の線成長速度vは, 扇形が相似形を保って成長することから, 扇形の半径rに逆比例し, v=k/β・rで与えられる.この成長の駆動力pが曲げによる歪領域内に放射状に存在する小傾角境界によるエネルギーと再結晶粒の境界エネルギーによるものとすると, 駆動力もrに逆比例する.すなわち線成長速度がrに逆比例するのは, prに逆比例するためである.そこで, vの実験値とpの比として境界の易動度が計算され, その値は (3.1~9.5) ×10-10cm3・dyn-1・sec-1となった.
  • 前 晋爾
    1977 年 39 巻 3 号 p. 117-124
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    東南極みずほ高原で観測された氷厚の減少を, 質量の連続の式を使って理論的に考察した.その結果, みずほ高原氷床の氷厚の減少は, 氷床底面が温度上昇によって融解し, 底面すべりが生じたために引きおこされたと結論した.さらに底面の温度上昇は積雪量の減少に起因すると推定した.この結論は, 西南極で推定される氷厚減少が, 引張り歪速度の増加によるものといわれていることと全く異っており, 東西両南極の流動現象及び氷床の変動を考えるうえで, この相違は興味ぶかい.
    ネパールヒマラヤのクンブ氷河の氷厚変化も連続の式を使って解析した.その結果, クンブ氷河の中流で観測される氷厚の増加には, 質量収支の変化以上に圧縮歪速度の増加が寄与していることがわかった. 従って, クンブ氷河中流域の氷厚の増加は動力波 (kinematic wave) の到達によるものと結論した.
  • 木村 忠志
    1977 年 39 巻 3 号 p. 125-131
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    地表面に直接設置する形式のPressure Pillowによる積雪相当水量の連続観測を, 1976年11月26日から1977年5月10日の期間, 新潟県北魚沼郡湯之谷村八崎で実施した.このPressure Pillowでは, 半導体ゲージによる圧力センサーをもちいて内圧を測定し, アナログ記録計に記録をとった.観測値と, 断面観測およびスノーサンプラーによる実測値は, とくに融雪期において, 10%以内の精度で一致した.一方, 融雪期の日中における, Pressure Pillowの観測値に, 不規測な波状の変動があらわれた.
  • 矢作 裕
    1977 年 39 巻 3 号 p. 132-140
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    寒冷地帯における土壌凍結深, とくに凍結経過中の最大値 (最大凍結深) は, 鉄道・道路などの工事, 農耕・植生などの関係において重要な指標の1つである, 従来使用されている凍結深計として, メチレンブルー水溶液を封入した樹脂製の透明管を土中に挿入しておいて, 凍土層に接した部分の水溶液が凍結して変色 (脱色) することを利用したものがあるが, この変化は可逆的であるため, 最大凍結深を知るためには, 凍結期間中に頻繁に現地に赴いて, 計器を土中から取出して凍結深を読みとる必要がある. これに対して, 表題の凍結深計は, 凍結開始前に一旦設置しておけば, そのまま放置しておいて, 春になってからはじめて現地に赴いて凍結深計を土中から取出して, 凍結経過中の最大値を付属の目盛によって直読できるものである.なお経過中の凍結深を知るためには, そのつど現地に赴いて計測できるのは, 従来の凍結深計と同様である.この報告は, 表題の凍結深計の紹介と実地試験結果について述べたものである.
  • 山本 勝弘, 伏見 碩二, 大畑 哲夫, 田中 洋一, 池上 宏一, 樋口 敬二
    1977 年 39 巻 3 号 p. 141-149
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    1度の試料採取により, 採取コアの層理観察及びコア重量の測定が可能な, コア・サンプラーを設計・作成した.このサンプラーの構造上の特徴は次の3点である. (1) 採取コアの層理をそのまま観察するため, サンプラー管をアクリル樹脂で作製した. (2) 試料採取中, サンプラーを引き上げる時に, 採取コアがサンプラーから脱落するのを防ぐため, サンプラー刃内壁にアザラシの毛皮 (スキー用シール) を貼った. (3) 樹脂製サンプラー管同士の接続に適した継手を考案した.
    このサンプラーを積雪の層理観察及び水当量測定に使用し, 設計意図通りの成果を得た.試料採取の際, コアが縮むが, この縮み量は雪質及び試料採取方法に依存し, 積雪深とコア長との比の値は1.04~1. 35の間であった.積雪の層理を復元する際に見込まれる誤差は, 積雪深の8.4%未満である.これよりも精度の高い値を得るための補助的測定法を提案した.なお, このサンプラー各部の構造は, 積雪以外の堆積物用サンプラーにも適用可能である.
  • 丸山 久一
    1977 年 39 巻 3 号 p. 150-156
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
feedback
Top