雪氷
Online ISSN : 1883-6267
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41 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • まえがき-雪渓観測と国際氷河観測との関連
    樋口 敬二
    1979 年 41 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1979/03/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    IUGG (国際測地学地球物理学連合) によるPSFG (氷河の変動に関する永続サービス), ならびにIHP (国際水文学計画) の一環としての氷河観測の現状を紹介し, それと日本の雪渓観測との関係を述べ, 総合研究「日本における山岳積雪の変動とその地域的特性」の実施に至る経緯を示した.
  • 成瀬 廉二, 高橋 修平
    1979 年 41 巻 1 号 p. 8-10
    発行日: 1979/03/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    北海道北部, 北見山地ウエンシリ岳雪渓における1976年の調査結果から, 雪渓の堆積と消耗機構の特性について次のことが明らかになった.ウエンシリ岳雪渓は, 1) 冬から春にかけて, 小規模な全層なだれの繰り返しによって涵養されている.2) 雪渓表面をおおうゴミが融雪を抑制している.その効果は, 夏の後半ほど大きい.3) 雪渓周囲の地形が雪渓上の直達日射量を減少させている.その効果は, 夏至の前後は小さく, 春および秋には大きい.4) 雪渓底部の融雪が進み「トンネル」が貫通すると, 川の水からの熱交換によって雪渓の消耗が促進される.その効果は, 夏の後半ほど大きい.
  • 若浜 五郎, 山田 知充
    1979 年 41 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1979/03/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    雪渓の消長を, 気候変動の一指標として見る立場から, 日本全国10ヶ所の山岳地帯の雪渓が調査されている.その一環として, 北海道中央部に位置する大雪山系のいくつかの雪渓の1976年度の消耗末期の大きさを測量した.その結果, 1976年の消耗終了時の大雪山系の雪渓は前年より大きな規模で越年し1975~1976年の水文年期間中の質量収支はプラスであることがわかった.また1964年以来継続観測されている雪壁雪渓の消長を総括した.
  • 佐藤 清一, 国包 勝栄
    1979 年 41 巻 1 号 p. 19-21
    発行日: 1979/03/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    岩木山 (1625m N40°39', E140°18') の東南斜面, 高度1,100~1,470mにあって冬の北西季節風の風かげになる大沢には, 吹きだまり型1年性雪渓がある.雪渓の調査を1974年, 1975年, 1976年に行ない次の結果を得た.
    1) 1974年8月20日における大沢雪渓は質量230kgであり, 8月21日に消滅した.
    2) 1975年7月16日における雪渓は標高1,160~1,403mの間にあり, 質量は6,100tであった.この雪渓は8月1日に480tとなり, 8月6日に消滅した.
    3) 1976年7月29日における雪渓は標高1,290~1,360mの間にあり, 質量は90tであった.これは1975年8月1日に存在した雪渓の20%に相当する.この雪渓は8月2日に消滅した.
    4) 7月下旬の融雪速度は積雪深で20cm/day, 水当量で120kg/m2・dayである. 2年雪は存在せず, 雪渓は全体が消耗域にある.
  • 阿部 正二朗, 矢野 勝俊
    1979 年 41 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 1979/03/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    1976年夏季に, 月山 (標高1,980m) の南西側の谷頭にある牛首 (うしくび) 残雪と, 南東側の圏谷にある大雪城 (おおゆきじろ) 雪渓の調査を行なった.牛首残雪に対しては, 7月26~28日に表面積の測量と積雪の断面観測を行ない, 大雪城雪渓に対しては, 9月23日に表面積の測量を行ない, 次の結果を得た.
    1) 牛首残雪 (標高1650~1695m) の表面積の測量値は9.3×103m2で, 残雪の平均の厚さは1.5~2.0mと推定され, 質量は8×103~11×103トンと推定された.
    2) 牛首残雪に対する断面観測の結果, 次のことがわかった.雪質は粒径0.5~1.0mmのよくしまったざらめ雪で, 最下層の積雪中には5mm程度の粒径のものも認められた.積雪のぬれ密度は0.55~0.65g/cm3, 木下硬度は4.2~33.0kg/cm2, 含水率は10.0~18.7%であった.
    3) 大雪城雪渓は南田, 北田とよばれている2つの雪渓に分れており, これらの大きさはほぼ同程度であると認められた.
    4) 大雪城北田雪渓 (標高1790~1815m) は最大傾斜方向 (北50°西, 勾配18°) の長さが約70m, 最も長い所で125mで, 表面積の測量値は5.2×103m2であった.雪渓は中心部で最も厚く, その厚さは約2.5mで, 平均の厚さは約1.4mと推定された.また, 雪渓の体積は約6.9×103m3で, 質量は約5.0×103トンと推定された.
    5) 1976夏期における大雪城北田雪渓の消耗量を検討した結果, 越年量は2.2×103トン程度と推定された.
  • 中俣 三郎, 宮内 信之助, 反町 嘉夫, 山田 穣, 五十嵐 高志, 渡辺 成雄, 須藤 伊佐夫, 遠藤 徹
    1979 年 41 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1979/03/31
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    越年性の山岳積雪についてその実態をみることおよび気象変動に伴うその形態など調べるため, 魚沼山系駒ヶ岳 (2,002m) 北方の桑の木沢雪渓について第1回の調査を行った.雪渓は海抜800m附近の低い位置にあり, 1977年8月4日現在の形状は, 長さ250m, 幅40m, 厚さ15~20m (推定) 総体積約10万m3を示した.
    ハンドオーガーにより約10m深部まで採雪した結果, 密度0.65程度の汚染されない均一の雪質からなりたっていることが判明し, 雪渓の成因は大規模の表層雪崩であることが確かめられた. なお, 年層境界は10m以上の深部にあり今回は確認できなかった.
    調査当日の雪渓の規模と今後の融雪速度から, 雪渓は越年性のものであることが推定される.気象変動に応じて雪渓形状がどのように変化するか今後見守るため, 雪渓先端の位置形状を重点に測量を行った.
  • 佐伯 正夫, 渡辺 成雄, 大関 義男
    1979 年 41 巻 1 号 p. 37-47
    発行日: 1979/03/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    新潟県十日町市の斜面で, 1968年から1977年の冬期間, 若齢広葉樹林の生育と積雪移動の関係を調査した. 積雪の移動は, 梢頭が深さ2~3mの積雪表面上に出現する立木と, 直径が6cm以上で積雪中に埋雪している立木の合計本数に大きく影響される.立木本数がha当り3,000本以下の林内では雪崩が発生したが, ha当り4,500本以上に増加した後は, 積雪移動は1冬期間に2~3mに減少し, 積雪は安定した.斜面積雪が安定するまでの年数は, 更新伐採後, 南向斜面で10~15年, 北向き斜面で20~25年と推定される.
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