雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
52 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 田村 盛彰
    1990 年 52 巻 4 号 p. 251-257
    発行日: 1990/12/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    長岡における気温別降水種 (降雪, みぞれ, 降雨) 出現頻度, 気温別日降雪量を近年の多雪年, 少雪年, 並年, である1963年, 1966年, 1969年の3冬 (12月~3月) について, 新潟地方気象台長岡気象通報所の観測資料を用いて統計的に解析した.その結果, 以下の知見を得た.
    (1) 降雪時の気温の範囲は-6℃から+6℃である. (2) 気温範囲0~1℃で降雪出現頻度が最大である. (3) 降雪時の平均気温が-1~1℃の範囲で1冬の累積降雪量が最も多い. (4) 降雨時の気温は0℃以上である.ほとんどの降雨は2~5℃で出現し, 2℃以下0℃へと気温が低下するにつれ減少する. (5) 日降雪量が1cm以上ある日の降雪時平均気温の範囲は-4~+3℃である.日降雪量の99%以上が降雪時平均気温2℃未満の日に生じる. (6) 判別気温以下で生ずる降水を雪と, それ以上での降水を雨と判定するとき, 雪とみなした降雨頻度と雨とみなした降雪頻度の和の全降水頻度に対する割合 (誤認率) は判別気温が2℃から3℃の間で最小値をとり, その値は8~10%であった.
  • 第1報雪分率制御機器と室内試験
    北原 拓夫, 佐藤 佳昭, 谷内 宏, 内倉 章夫, 白樫 正高
    1990 年 52 巻 4 号 p. 259-266
    発行日: 1990/12/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    いわゆる雪の水力輸送技術は, 市街地での除排雪, 貯雪ダムへの雪の輸送のほか, 冷熱輸送における氷の輸送手段としても期待されている.この方法を実施するにあたり二つの課題がある.一つは輸送する雪水混合体の中の雪の濃度をできるだけ高く保ち輸送効率を高めることであり, もう一つは装置内部での閉塞を回避して安定した輸送を実現することである.これらのややもすれば相反する二つの課題を同時に解決するため, 我々は雪の濃度いわゆる雪分率を制御する技術を研究している.この制御のために開発した要素機器のうち, 雪の濃度を検出する雪分率計および雪分率を高める雪分率調整器について述べる.次に室内に設置した試験装置で行った雪分率制御の試験結果について述べる.制御はいわゆるプロセス制御に属することから市販のPID指示調節計を利用した.ざらめ雪で試験を行った結果, 設定した目標値 (雪分率45%) にまで濃縮した安定した状態で継続して輸送できることが確かめられた.
  • 遠藤 八十一, 大関 義男, 庭野 昭二
    1990 年 52 巻 4 号 p. 267-274
    発行日: 1990/12/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    低密度 (180kg/m3以下) の乾いた積雪の圧縮粘性係数を野外において測定した.その結果, 粘性係数ηと密度ρの関係は, 従来の指数関数ではなく, べき関数η=Cρn (Cとnは定数) として表示すれば一つの式で表せることが分った.従来の研究者の結果を検討した結果, この式は密度300kg/m3程度以下の積雪にまで適用できるものと考えられた.新しく得た関係式をもとに, 積雪の密度の時間変化を表す式を導いた.この式は毎日の降雪水量が分かれば, 積雪の密度が計算できるというもので, この式を用いて密度の鉛直分布や積雪深の時間変化を計算した, 計算値と観測値とは比較的良い一致を示した.
  • 梶川 正弘, 井岡 利夫, 大谷 直樹, 小野 鉱二, 鎌田 武美, 軽部 和夫, 後藤 博, 斎藤 巧, 佐々木 厚, 佐々木 忠治, 佐 ...
    1990 年 52 巻 4 号 p. 275-281
    発行日: 1990/12/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    鳥海山北東斜面にある吹きだまり型多年性雪渓のひとつ, 七ッ釜南東部雪渓を定期的に10年間調査した.その結果, 雪渓規模の変動について次のことがわかった.
    1) 1982年をピークに, 雪渓は縮小傾向にある.これは近接地域の冬期降水量の減少傾向と一致している.
    2) 雪渓規模が前年に比べて拡大しているか縮小しているかは, 原則として秋田県南部における前年の夏期気温指標 (月平均気温の平年偏差の和) が前年に比べて低いか高いかにそれぞれ対応している.
    3) 原則に合わない場合として, 次の二つがある.前年にこの雪渓が一定限度以下に縮小した場合には, 当年の雪渓規模は当年の夏期気温の傾向 (前年比での高低) に依存する.また, 一定限度以下に縮小しない場合でも, 当年の冬期降水量が一定限度より少なかった場合には, 当年の雪渓規模は縮小する.
    4) 以上のことは, 一定規模以上の雪渓が周囲の微気候に影響を与えるという現象の可能性を示唆する.
  • 梶川 正弘, 小野 昇
    1990 年 52 巻 4 号 p. 283-287
    発行日: 1990/12/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    新積雪の圧縮粘性係数に及ぼす降雪粒子の結晶形の影響を調べるために, 秋田県鹿角市八幡平でかわき新雪の密度変化を6時間毎に観測した.主な結果は次の通りである.
    1) 三次元的な外形を持つ立体樹枝から成る新雪の圧縮粘性係数は, 同じ密度で比較すると, 二次元的な外形を持つ樹枝の場合より約5倍大きい.
    2) 新雪とこしまり雪との圧縮粘性係数の比較によると, 立体樹枝を主とする雪層では密度が0.1g・cm3以下で, 樹枝や角板を主とする雪層ではそれ以上の密度でこしまり雪へ変化すると考えられる.この事は, 結晶形により圧密過程が異なることを示唆している.
    3) 立体樹枝, 雲粒付立体樹枝, 角板および樹枝を主とする各々の新雪について, 圧縮粘性係数を密度および雪温の関数として表わす実験式が導かれた.
  • 太田 岳史, 橋本 哲, 石橋 秀弘
    1990 年 52 巻 4 号 p. 289-296
    発行日: 1990/12/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    森林内融雪の定量化をはかる基礎的検討として, 森林内外での気象観測, 全天日射量を人工的に変化させた表層融雪実験ならびに上記の結果にもとづき熱収支法により森林内融雪量の変動範囲を推定した.その結果, 以下の知見を得た.1) 森林が存在することによって大きく変化する気象要素は全天日射量と風速であり, 前者は落葉樹林内と常緑樹林内で減少率が異なった.2) 全天日射量の減少により融雪量は直線的に減少し, ピーク融雪量の生起時刻が遅れた.これらの傾向は, 熱収支法によりほぼ再現しえた。3) 常緑樹林内の融雪量は森林外の約10~40%に, 落葉樹林内でも約50~80%に減少することが予想され, 落葉樹林が融雪に与える効果も評価してゆく必要性があることが指摘された.
  • 井上 良紀
    1990 年 52 巻 4 号 p. 297-306
    発行日: 1990/12/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
feedback
Top