本論文は、流雪溝の流雪能力と雪混入に伴う水深増加率について,水理学的手法を用いて主として解析的に取り扱ったものである.解析では雪水二相流の考えに基づき,雪相と水相とに分けて,それぞれの相での連続式,運動量式をたてた.この中で新しい考え方として,水が雪層の中の水みちを通り,そのために過剰なせん断力が作用するという考えを導入した.本解析により,雪層の移動限界,水深増加率,流雪能力についての理論式が得られた.本理論の妥当性を検討するため,木片を用いた流雪溝の模擬実験を行った.これにより得られた,模擬雪塊の移動限界,水深増加率の実験値を理論と比較した結果,理論が実験値の概略を説明することを示した.
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