雪氷
Online ISSN : 1883-6267
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57 巻, 3 号
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  • 力石 國男, 林 敏幸
    1995 年 57 巻 3 号 p. 221-228
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    既存の気象観測資料(気温,風向風速,降雪量または降水量)を解析して,豪雪都市として知られる青森市の降雪量と地上の風系との関係を調べた.青森市の降雪量が多い時には,青森県下の風系が組織化され,風上に風の収束域が形成されることが明らかになった.この収束域は,津軽山地の稜線に沿って吹く北西風と,八甲田山系を迂回する南西風が青森市の西方で合流するすることによって形成されている.この地形による風の収束は,上昇気流を引き起こし,雪片を生成させると推定される.従って,寒気の流入と津軽山地および八甲田山系の存在が,青森市の局地的な大雪の原因になっていると結論される.
  • 石坂 雅昭
    1995 年 57 巻 3 号 p. 229-238
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    雲粒付雪片について,落下速度を初めとする落下に関する諸物理量を,可能なかぎり同時かつ直接的に測定した.雲粒付雪片は,雲粒の付着の度合いに応じて3タイプに分けた.その結果,落下速度はLangleben (1954)の提出したV=kDn(Dは雪片の融解直径)の形に書けた.また,雲粒付きの度合いが多い雪片ほど,n,k とも大きくなる傾向もこれまでの結果と同じであった.雪片の空中での落下姿勢は,逆円錐形で落ちてくるものが最も多かった.密度σは,大きさdとともに低下し,その関係は,濃密雲粒付雪片で,σ・d0.81=0.027となり,傾向は,Magono and Nakamura (1965)の結果と同じであるが,その関係式は,彼らのσ・d2=0.02 とは異なった.雪片の質量は,どのタイプの場合も,横方向から見た断面積にほぼ比例し,最大粒径とは,およそその2乗に比例する関係が得られた.また,レイノルズ数300~2500の範囲の抵抗係数を計算によって求めることができた.値は大きくばらついたが,どのタイプも,多くは0.4から1.3の間に分布し,同じ範囲のレイノルズ数における球と円柱の抵抗係数の間の値をとり,レイノルズ数の増加とともにわずかに低下する傾向が見られた.また,これらの諸量の関係からV=kDn形の式を検討した結果,kやnの値には,抵抗係数とレイノルズ数の関係や,横方向(水平方向)の大きさと融解直径の関係を反映することがわかった.そして,後者については,雲粒が多く付いているタイプの雪片では,少ないものに比べ,融解直径の増加に対する大きさの増加が小さいこと,すなわち重くなる割に水平方向の大きさの増加が小さいことが,特に融解直径の大きい領域で終速度を大きくする要因であることがわかった.
  • 山崎 剛
    1995 年 57 巻 3 号 p. 239-244
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    積雪面の熱収支式を考察することによって,10日程度の期間の融雪量を日中平均気温と日積算日射量の期間平均値で表せることを示した.その結果,アルベードが0.8程度のときには,融雪量は見かけ上日射量に依存せず,気温の一次式で表せることがわかった.このとき融雪係数に相当する係数は,期間平均の風速と相対湿度で表される.この方法で実際に融雪量が推定できることを札幌,岩手県沢内,宮城県川渡のデータで検証した.また,気温が日射量と相関をもつ場合について考察した.
  • 成瀬 廉二
    1995 年 57 巻 3 号 p. 245-256
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    南アメリカ大陸南部のパタゴニア地域の氷河にて,1983年から1993年にかけて実施された4回の現地調査の成果から,パタゴニア氷河の流動機構,消耗特性,および近年の氷厚変化について述べる.ソレール氷河とモレノ氷河では,流動速度が数時間以内に大きく変動しており,最大値は最小値の約3倍であった.このことから,両氷河の底面すべり速度と氷の塑性変形による速度との比は2:1と見積もられた.夏季の氷融解におよぼす熱収支成分は,全般的に顕熱の寄与が大きく,氷河によっては放射収支を上まわる.また,高温,多湿気候下では凝結潜熱の寄与も放射収支に匹敵する.ソレール,チンダル,ウプサラ氷河では年間3 mから11 mの著しく大きい氷厚減少が観測された.一方,モレノ氷河はほぼ平衡状態にある.そのため,地球規模の気候環境変化の直接的な影響とは考えにくく,局地的な気象条件および氷河動力学に原因がありそうである.
  • 山田 知充, 白岩 孝行
    1995 年 57 巻 3 号 p. 257-267
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    ヒマラヤ・カラコルム地域の近年の氷河変動を,前世紀~1970年代までの観察・観測記録および最近20年間の観測結果の2つの観点からまとめた.ヒマラヤ・カラコルム地域とも,前世紀以降,大局的には後退傾向が顕著であるが,カラコルム地球では20世紀初頭に氷河の前進が認められた.また,カラコルム地域ではサージによる氷河の突発前進が頻繁に生じていることがわかった.最近の20年間に関しては後退傾向が著しく,特に後半になって後退傾向はより顕著になっている.ネパール・ヒマラヤの観測からは,ここ数年の氷河の著しい後退の原因は気温上昇にあると推定される.前世紀以降の氷河変動の原因に関しては,気温や降水量の変動,あるいは氷河の力学的な応答の遅れなどが指摘されているが,まだ明らかなことはわかっていない.
  • SARインターフェロメトリーによる氷河氷床の研究
    西尾 文彦
    1995 年 57 巻 3 号 p. 269-271
    発行日: 1995/09/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
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