雪氷
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58 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 小南 靖弘, 高見 晋一
    1996 年 58 巻 2 号 p. 107-116
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/06/17
    ジャーナル フリー
    積雪層のガス拡散係数を測定する装置を開発した.本装置は,ガス室(チェンバー)内のCO2ガスが試料を通って大気中に拡散する速度を測定することによりガス拡散係数を求める,非定常拡散法に基づいている.これは土壌中のガス拡散係数の測定法に準じたものであるが,積雪が土壌よりはるかに不安定であることを考慮して,次のような改良を加えた.即ち,現場で直ちに使用できるように構造を単純化し,かつ携帯性を持たせた.作成した装置の作動性および測定上の諸仮定の妥当性を検討するため,ガラスビーズによる積雪模型およびガラス管束を用いて測定を行った.その結果,絶対値検定では物性値とほぼ同一の値が得られ,また同一条件下での反復測定では各測定値間の差は5%以内であった.本装置を用いて新雪,しまり雪(密度0.1~0.55g・cm-3)について測定をおこなった結果,0℃におけるCO2拡散係数は0.40~0.89cm2・s-1の範囲で,これは従来得られている値と同程度であった.以上のことから本装置により積雪層内のCO2拡散係数を現場で簡便に測定できることがわかった.
  • 第2報 流雪溝の費用便益計算
    諸橋 和行, 梅村 晃由
    1996 年 58 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    除排雪システムの経済性の評価方法を確立するため,第1報の消雪パイプと機械除雪の評価に続いて,流雪溝の経済性評価を費用便益比B/Cを用いて行う.まず流雪溝の除雪対象範囲を車道部,歩道,沿道の宅地の3つとして定め,流雪溝の導入に伴い,1)そこから積雪が除去されることによる雪害額の減少,および2)これまでに要していた除雪労力が削減されることによる除雪費用の減少,の2つを流雪溝の便益Bとする.一方,流雪溝の費用Cは実際にかかる設備費,維持修繕費,運転費から求める.
    長岡市道東幹線20号線に設置されている延長1,350.7mの流雪溝を例に,その経済性を計算したところ,B/Cは10年再現の大雪年で1.75,平雪年で1.11,10年再現の少雪年で0.75となり,平雪年及び大雪年で経済的に成り立つことがわかった.次にこの流雪溝の代わりに消雪パイプを歩道に860m敷設した場合のB/C求めたところ,平雪年で1.55となり,消雪パイプの方が流雪溝よりも高い経済性を示した.しかし仮に設置区間のすべてに沿道家屋が存在し,そこで理想的に流雪溝が利用されるとすれば,流雪溝のB/Cは平雪年で1.74となり,消雪パイプよりも高い経済性を有すると推定される.
  • 第4報 撹絆槽用固相率計
    村山 健一, 加川 幸雄, 澤本 勝範, 梅村 晃由
    1996 年 58 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    水力を用いた雪処理は豪雪地帯の新しい除排雪方法として,我々は雪と水を撹絆槽内で混ぜて管路に押し込む雪の水力輸送機器を開発してきな.このような装置では雪水混合体を送るポンプの入り口付近で閉塞が生じやすく,それを防ぐために撹絆槽内の固相率を検出して過度の雪の投入を防止しなければならない.本研究では,雪水混合体の固相率を電導度を測定することによって知る方法を,撹絆槽内の固相率測定に適用した.この場合,有限要素法で撹絆槽に適する電極形状が比較的容易に決定されることが実験で確かめられた.これによって,従来は困難であった円筒型や複雑な形状の撹絆槽内の固相率の検出が可能となり,過度の雪投入を防止する信号が発せられるようになった.
  • 倉島 栄一, 加藤 徹, 佐藤 晃三
    1996 年 58 巻 2 号 p. 133-144
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    熱収支法の適用において使用可能な気象資料に制約がある複数の積雪地帯流域を対象に,推定気象要素を入力値とした熱収支法に基づく融雪モデルを適用し,タンクモデル法による長期融雪流出解析を試みた.流域を高度分布にしたがって等面積に4分割し,日射量,下向き長波放射量,風速に関するパラメータを流域パラメータとして,タンクモデル定数と同様に扱い,これらを一括して最適化手法によって同定した.同定された定数によって長期融雪流出解析を行い,あわせて気温による経験的な融雪量算定手法を用いた解析結果と比較を行ったが,日流出量の精度に明瞭な差は認められなかった.
  • 山田 知充, 伏見 碩二, R. Aryal, 門田 勤, 藤田 耕史, 瀬古 勝基, 安成 哲三
    1996 年 58 巻 2 号 p. 145-155
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
  • 金村 直俊, 菊地 勝弘
    1996 年 58 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    Record-beaking heavy snowfalls were observed at Sapporo area in the Ishikari Plain, Hokkaido from December 1995 to January 1996. The total snowfall in December 1995 at Sapporo was 256cm which was more than twice of the monthly average.
  • 吹雪のしくみ
    竹内 政夫
    1996 年 58 巻 2 号 p. 161-168
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    吹雪は,吹きだまりや視程障害の形で,各種運輸交通機関を中心に毎年様々な被害をもたらしている.吹きだまり対策から始まった吹雪対策は,道路交通の発達とともに,視程障害対策まで範囲をひろげてきている.また,ハード面だけでなくソフト的な対策技術も見られるようになってきた.ここでは,現在の吹雪対策について,その基礎となる吹雪の性質,障害要因とその特徴,実際の工法や技術に分けて紹介する.今回は,吹雪対策の計画や設計のための基礎知識として必要な,吹雪の発生,発達,構造,吹雪量等について解説した.
  • 東 晃
    1996 年 58 巻 2 号 p. 169-178
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    東京近郊の長瀞でつくられている天然氷結晶が案外大きな結晶粒から構成されていることを発見し,その生因を観測によって推論した.この結晶を用いて,光照射による内部融解像(チンダル像)生成の過程を観察し,その形成変化と融解像内の水の過熱との関係を論じた.南極氷床で行われたボーリングによって採取された700mの氷コアーを中心として,南極の氷に含まれている微粒子の電顕観察, EDS分析を行った.微粒子の形態的分類,火山灰の同定からその起源を論じ,また微粒子濃度の深さ分布から地球環境変動との関係を論じた.
  • 分子レベルでの氷結晶の融液成長機構
    灘 浩樹, 古川 義純
    1996 年 58 巻 2 号 p. 179-180
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
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