除排雪対策が既に施されている豪雪都市に新しく導入される大規模な流雪溝について, 経済性の評価を行った.まず流雪溝をその整備路線の路線価, 道路幅員, 既存の除排雪対策に応じて分割し, 車道部, 歩道, および沿道の宅地を流雪溝が除雪対象とする範囲と定めた.次に分割した流雪溝ごとに, 流雪溝の導入によって冬期の利用空間が広がることによる便益B1, および除雪費用が減少する (トラック排雪が不要となる) ことによる便益
B2を求めた.そしてこれを全流雪溝で集計してΣ
B1とΣ
B2とし, 両者の合計B (=Σ
B1+Σ
B2) と全流雪溝にかかる費用
Cから, 費用便益比
B/
Cを求めた.
新潟県十日町市に整備される流雪溝システムについて, 1975年度から1994年度の20年間の降積雪データを用いて経済性評価を行った結果, その20年間の総額の
B/
Cはシステムの耐用年数が20年のときに0.85, 30年のときに1.22となることがわかった.また最大積雪深の増加に伴い, Σ
B2は2次曲線的に増加するのに対し, Σ
B1と
Cはあまり変化しないことがわかった.
この手法は, 消雪パイプ用の地下水の枯渇や, 流雪溝システムの拡張に対する経済性の予測にも適用できる.
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