青森県内で降雪量のデータの得られる市町村で除雪予算,除雪道路延長と世帯数から各市町村の雪対策の程度を比較検討するために克雪度(円・cm
-1・(m/世帯)
-1)を提案した.克雪度とは各自治体の生活道路において単位降雪量(cm)に対し世帯間の道路長(m/世帯)にいくらの除雪費(円)を負担しているかを示すものである.なお,期間に依存する量として「除雪費」は年度の機械除雪費,「降雪量」は同年度の12~3月の累計降雪深であり,また「世帯間の道路長」とは国道・県道などの幹線道路を除く生活道路の世帯間の平均道路長である.
高層住宅の目立つ都市部では除雪の予算規模が大きくなる,一方で世帯間の道路長は短くなるので単位道路長に投下される金額は大きくなり,克雪度が上がる.過疎地では予算規模が小さいのに世帯間の道路長が大きいため,単位道路長に投下される金額は小さく,克雪度は上がり難い.こうした自治体では除雪予算額を格段に増やすことが困難だとするなら,世帯間の道路長を短くする対策として,集落再編を検討する必要もあろう.克雪度の差異が豪雪地帯における生活,福祉などとどのように関係しているかについては今後の研究を待つ.
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