氷・氷摩擦係数の垂直応力依存性を1.2~17.3kPaの垂直応力範囲で調べた.実験は-0.5~-20℃の温度領域, また3種類の一定速度 (4×10
-3, 4.5×10
-2, 4×10
-1m/s) で行われた.測定が行われた全ての温度, 速度において, 摩擦係数は垂直応力とともに減少し, 約6kPa以上の垂直応力で, ほぼ一定値をとった.摩擦係数 (μ) と垂直応力 (
P) の関係は平均的にμ∝
P-0.32で表せた.しかし, 本報告では, 測定されたせん断応力と垂直応力の直線関係に基づいて得られたMohr-Coulombの式 (μ=μ
O+
A/
P) を用いて解析が行われた.μ
Oはクーロン摩擦係数,
Aは付着力である.μ
Oは速度の増加とともに減少した.この結果は摩擦熱による水膜発生がこのような低速度でも起っていることを示唆する.μ
Oには温度依存性が確認され, -5℃附近で極小を示した.付着力 (
A) は, 10~250Paという小さな値で, 温度の低下または速度の増加とともに増加した.
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