雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
69 巻, 5 号
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  • 石坂 雅昭
    2007 年 69 巻 5 号 p. 591-599
    発行日: 2007/09/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    筆者は先に日本の積雪地域の月平年値(1,2月平均)に関して,月最深積雪,月平均気温,月降水量間の関係を検討し,温暖積雪地域である「湿り雪地域」(1月の月平均気温が0.3℃以上の積雪地域)の月最深積雪には月平均気温および月降水量で決まる上限があることを示し,その目安となる式を提案した.ここでは,上記の上限が成立し得る範囲を含め,より寒冷な積雪地域を含んだ日本の積雪地域全体の中でのこれら三要素間の関係を検討した.
    その結果,月平均気温に対する月最深積雪の月降水量に対する比は,地点毎にばらつきながらも全体的には寒冷な地域になればなるほど大きくなること,0℃より温暖な地域で成り立つ上限については,それより寒冷なおよそ-1℃までの範囲では,上限を若干上回る多雪地域の地点が存在すること,さらに寒い地域では,大幅に上回る地点が相当数出現し,同じ上限の式を使用することができないことなどがわかった.また,上限と同様,月平均気温と月降水量で決まる月最深積雪の下限が存在することがわかり,その目安となる式を提案した.
    そして,上限の式からは,一定の月最深積雪を上回るのに必要な最小の月降水量が,また下限からは,寒冷地域でしもざらめ雪が発達するために,それを上回ってはいけない月降水量の最大値がそれぞれ気温に応じて決まることなどを示し,上下限によって積雪地域の特徴の一端を知り得ることを示した.
  • 阿部 修
    2007 年 69 巻 5 号 p. 601-609
    発行日: 2007/09/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    回転円盤上に多数の粒子をばらまき,付着した粒子の遠心力と付着力が等しいという原理を利用して,単体粒子と平盤の間の勇断付着力を測定する方法を考案した.回転中の円盤上に粒子をばらまけば瞬間的な付着力を,また静止した円盤上にばらまきその後回転させれば一定時間経過後の付着力を測定することができる.この方法により,気温-12.5~-2.5℃における,ガラスビーズ(半径0.125~1mm)と氷盤,雪粒子(投影面積相当半径0.21~0.42 mm)とガラス盤の問の勇断付着力を測定した.測定された両者の剪断付着力は,明確な粒径依存性および温度依存性を示した.瞬間的な剪断付着力は,粒径については,粒子が球形の場合は半径の2乗に,不定形の場合は投影面積相当半径/円形度の2乗に比例し,温度については,低温ほど小さな値となった.-11.2℃における付着後15s経過した半径0.5mmのガラスビーズと氷盤の剪断付着力は同じ条件の瞬間的な剪断付着力より1桁大きかった.また,複雑な形状をした雪粒子の剪断付着力は円形のものより大きな値を示した.
  • 赤田 尚史, 柳澤 文孝
    2007 年 69 巻 5 号 p. 611-617
    発行日: 2007/09/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    大気中に存在する環境汚染物質の物理的存在形態を明らかにすることを目的に,大気汚染の深刻な地域である中国四川省成都市において大気の採取を2通り(粒子除去用フィルターの有無)行い,水溶性イオン成分の測定を行った.その結果,F-は粒子態として, Cl-はガス態として大気中に存在していた.NO3-は主に粒子態として大気中に存在していた. NO2-は夜間に濃度が高くなるのに対し,NO3-は日中に濃度が高くなる傾向であった. Sは定常的にSO2として大気中に存在しており,日中の人為起源排出量が増加する時間帯に,粒子態の濃度が増加していた.NO3-およびSO42-の大気中での時間変動は,前駆物質を含む大気中への排出量だけでなく,大気中での様々な化学反応に支配されていた事が示唆された.
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