(1) 過冷却の雪粒に滉つて觀測される雪の初期結晶の結晶形と氣温との關係を調査した。
(2) 初期結晶は柱状, 板状, 兩者組合せの三種に大別され, -9~-10°Oを境としてそれより高温では柱状, 低温では板状が見られる。
(3) 柱状結晶は角柱骸晶, 單針, 先割針, 長針に分類され, それらは主軸方向の成長の種々の程度を表わしているが, 同時に副軸方向にも成長が行われていることが分つた。
(4) 板状結晶は角板骸晶, 二重角板, 尖角板, 星型六花, 扇型六花に分類され, これらの大部分は二重構造をして角板骸晶の兩底面から出發したものと見做される。尖角板と星型六花は副軸方両の成長の最も盛んな結晶形であって, 共に-12.5~-15℃の間で觀測される。
(5) 人工雪と初期結晶の生成條件は大體一致しているが, 樹枝状六花の温度範圍は初期結晶の方が1~2℃高い。
(6) 雪の結晶の種々の形態は, 先ず最初に10μ程度の角柱又は厚角板の完晶が出來, これが主軸方向又は副軸方向に骸晶的發達をして出來たものと考えられる。
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