積雪内に熱が吸収され, 雪粒が融解を始めると, とけた水は雪粒の表面に膜状に蔽われ, 又雪粒間の凹んだ間隙に表面張力で保持される。融解が更に進んで, 保持しきれない程にとけた水がふえると, 余分の水は重力によって下方に移動を始める。このときの限界の水分率を平衡含水率とよぶ。この平衡含水率W
eは雪質によって違う。粒径d=1~2mm, 密度ρ=0.35~0.4のざらめ雪でW
e=15~20%, d=0.2~0.4mm, ρ=0.25~0.35のしまり雪ではW
e=25~30%, d≈0.05mm, ρ=0.08の新雪ではW≈50%である。余分の水は, ざらめ雪の層の中では, 層全体にわたって一様に下方に流れるが, しまり雪か新雪の層の中では, 選択的にあるせまい線にそってだけ下方に流れる。この水の流れる路を「みずみち」とよんでいる。
筆者らは, 吉田考案による結合熱量計方式の積雪含水率計を用いて, 積雪内の融雪水分布を測定した。得られた結果の一部を紹介する。
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