昭和14~15年冬期中本所敷地内に於て, マツダ精密型照度計を使用し積雪中の照度を測定した。之の照度計は測定範圍0~1000ルツクスの程度であるから, より大なる照度の測定には, 照度の大小によつて二種の黒色フヰルターを着用し80,000ルツクスまでの照度を測定出來る。
照度の測定は出來るだけ氣象的條件特に太陽の照度の雲, 吹雪等にて急激な變化なき日を撰び出來るだけ速かに行ふべきである。
測定せる試料は比較的均質なる雪層, 即ち人爲的に積雪中より均質なる雪を取り出して,積み重ねることにより得たる雪層及び,雪質の異なれる雪層よりなれる自然積雪とである。積雪中光の透過する深さは意外に少ないもので, 如何に天氣のよい明るい日でも,自然積雪に於ては50糎以上の深さの部分は殆ど元がなく暗黒であると考へてよい。即ち積雪中に於ける光の消散係數の大なることを知る, 白色のシマリユキで約0.10~0.25稍褐色を帯びたザラメユキに於ては約0.20~0.35を示した。
積雪面で反射される光の量は雪中にて消散される光の量と雪面の照度との關係から求めて見た。之によれば積雪面で反射される光の量は雪質によつて著しく異なり, 純白のシマリユキでは74%最も少ないザラメユキの稍褐色を帯びたもので55%であつて, 如何なる積雪にても投射した光量の半ば以上は積雪面にて反射されるものと考へてよい。
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