雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
32 巻, 6 号
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  • 樋口 敬二, 渡辺 興亜, 牛木 久雄, 奥平 文雄, 上田 豊
    1970 年 32 巻 6 号 p. 129-146
    発行日: 1970/11/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    北アルプス, 剱沢圏谷において積雪域の調査を, 1967年5月26日~30日, 7月11日~15日, 9月26日~29日, 10月17日の4回にわたっておこない次のような結果を得た.
    (1) 9月29日における「はまぐり雪」の面積は, 4778m2で, 質量は0.9×104トンであり, これは, 5月29日にこの一帯に存在した67.5×104トンの1.3%に相当する.
    (2) コアドリルによる試料サンプリングの結果, はまぐり雪には3年の氷層しかないことがわかった. したがって, はまぐり雪は, 1964年に一度消失または極度に縮小したと考えられるが, そのような変動は, 冬期における雪の蓄積量と夏期の融雪量の変動によって説明できた.
    (3) 雪渓においても, 涵養域と消耗域とが存在することがわかった。この年における涵養域比は, 0.54であった.
    (4) 雪渓の氷層を構成する結晶粒は, 1963年に報告されているように大きな単結晶ではなく, 1.5mm以下であった. 結晶粒の結晶主軸の分布は, 表面では方向性をもたないのに, 最下部では, 基盤の最大傾斜の方向につよい集中性を示していた.
  • 山本 晃
    1970 年 32 巻 6 号 p. 147-156
    発行日: 1970/11/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    ここでいう「工場雪」とは, 冬季, 国策パルプ旭川工場から排出される煙と蒸気の中から降ってくる一種の人工雪である. この現象は中緯度にある日本としてはめずらしい現象と思われ, 本文は1967年から3シーズンに行なった観察の記録を紹介する.
    「工場雪」の成因としては,
    1) 内陸特有 (上川盆地) の無風, 快晴時に生ずる強い接地逆転.
    2) 工場内10数本の主煙突からの排出物
    3) 工場内50余の排気口から出るスチンムによる過飼和。
    などが挙げられるが, これらの条件下で生成される結晶や雪片は, 自然雪や低温室内で作られた結晶とはまた異なる要素を持ち, 自然と人工の中間的存在として, この降雪機構の解明は将来, 雲物理研究の種々の面で役立つのではないかと思われる.
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