雪氷
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38 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 中川 正之, 川田 邦失, 岡部 俊夫, 清水 弘, 秋田 谷英次
    1976 年 38 巻 4 号 p. 157-164
    発行日: 1976/12/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    立山周辺は我が国有数の豪雪地帯で, 立山中腹の室堂平 (2,450m) では例年10月中旬頃より降雪が始まり4月中旬頃まで続く.厳冬期には最低気温は約-20℃, 降雪は強い風を伴い吹雪となることが多い.平坦地で最大積雪深は5~7mに達するが, 7月上旬頃に消失する.
    この室堂平の積雪の性質の特徴を知るため, 昭和47年以来3冬期にわたり入山し断面観測を行った.厳冬期のしまり雪は下層程圧密化が進行し, 密度・硬度ともに大きな値をもち, 最大値はそれぞれ, ρ=0.51g/cm3, R=25kg/cm2であった.硬度と密度の関係は
    R=400ρ4.6g/cm2
    で表わされ, 同一密度に対する硬度は北海道の札幌や問寒別の雪に比べて遥かに大きい値である.厳冬期のしまり雪の圧縮粘性係数は
    η=3.3e20.2ρg・day/cm2
    で表わされ, 札幌の雪より同一密度に対して大きい値である.融雪期のざらめ雪の密度は, 5月上旬頃0.55g/cm3で以後次第に増大し, 消失直前には0.65g/cm3に達した.
  • 竹内 政夫, 福沢 義文
    1976 年 38 巻 4 号 p. 165-170
    発行日: 1976/12/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    降雪など雪粒による光の減衰は, 従来までの研究では Mie 散乱によるとして取扱われて来た.しかし光の波長に比べて雪粒が十分大きいことからと, O'Brien (1970) の観測で雪粒の散乱面積係数が1より小さい値を得ていることから考えて, この研究で光は雪粒による散乱よりはむしろ反射によって減衰されることを明らかにした.
    雪粒の空間濃度と光の消散係数との関係を, 吹雪について観測して, 降雪の場合と比較したところ, 吹雪では降雪よりも5倍近く光の消散係数が大きい結果が得られた.この違いは雪粒の形状や大きさによるものと考えられる.
    吹雪, 降雪時の視程を雪粒の空間濃度で表わすと, 同じ雪粒の空間濃度でも, 吹雪では風の無い降雪と比べて12倍以上も視程が悪い.吹雪, 降雪時の視程を雪粒の移動量との関係で表わすと両者の達いはなくなり, 一本の曲線で表わされることがわかった.このことは雪粒などのように有限大の識別できる程度の大きさをもった空間浮遊物では, Koschnieder (1924) の考えたように, 視程は光の一様減衰としてだけではなく, 雪粒とその残像の影響とで説明される.
  • 田中 耕平, 八巻 正利, 増田 茂
    1976 年 38 巻 4 号 p. 171-177
    発行日: 1976/12/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    水力発電計画において融雪期における貯水池への流入量を予測するため, 従来コバルト60を用いた雪量計を使用していたが, この方式は, 放射性物質を取扱うためその貯蔵管理などに厳重な規制を必要としている.このため当社ではコバルト60を用いない方法として, 積雪検出部分に光検出方式を考案し, 昭和48年以降十和田湖周辺において試験を行い, 実用化の見通しがついたので, 今後この方式を採用する事とした.
    今回開発した方式は, 透明アクリルパイプに硫化カドミウム光導電セルを組み込み, 積雪の有無による明暗を利用して積雪深を計測する方式である.従って雪の比重により積雪相当水深に換算する必要がある事や, 積雪の形状等による誤差が若干生ずるが, 放射線取扱いに関する問題が一切解消し, 装置が簡易で信頼性が高く, 維持管理や保守を殆んど必要としない利点がある.
    尚, 本方式は各種の雪量ロボットにも適用する事が可能である.
  • 土屋 巌
    1976 年 38 巻 4 号 p. 178-187
    発行日: 1976/12/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    1973, 74年の寒候期に, 東北地方では各地で記録的な豪雪となったが, 日本海に面した山地の極端に大量の積雪現象のあったことが, 1974年4月6日に実施した積雪の航空写真測量によって認められた.飯豊山の北股岳東斜面と御西岳南斜面, 月山南東斜面および鳥海山南斜面について作成した1万分の1積雪深図の中には, 径1km円内の平均が17mになる例もあり, また従来越年性残雪の見られた場所では30mを超え, 一部に50mに達する場合のあることがわかった.
    40°N付近の東北山地の南東斜面で日当りの良い場所の高度1,400~1,800mでは, 残雪越年臨界量は実測, その他の方法でほぼ30mであると認定できたが, 今回の豪雪は多年性の雪氷の原因となり, 小規模氷河現象発現のもととなった. たとえば, 鳥海山南斜面の “貝形小氷河” は, 45mを超す雪積深を示し, 1974年10月には最深部20m以上で越年し, 1975年夏秋の間に, 2夏継続して残った雪氷は, 大部分氷化して流動現象を発現し, 小型の山岳氷河としての性格を示した.
  • 深沢 大輔
    1976 年 38 巻 4 号 p. 188-195
    発行日: 1976/12/30
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    このレポートの目的は, 急勾配の長尺瓦棒葺き屋根から滑り落ちる雪を融かす経済的で, かつ効果的な方法を提案することにある.
    新潟県栃尾市においては, 約60度の屋根勾配を採ると, 密度約0.1g/cm3のベタ雪が付着しても7~10cmで崩落してしまう.この崩落する雪を軒の両端より1m長く, 幅2m, 水深60cmの大きさの池で受け止め, 2~3℃の河川水を使って融雪することが可能かどうか, 検討したものである.
    池の大きさの他に, 放水及び, 池の水の流体運動と熱作用などに検討を加え, 実際に「融雪池」を造り, その効果実験を行なってみた.
    176.1l/m2の水を貯えている池の中へ2~3℃という極めて低い水温の水を0.804l/m2・min入れ続け, 密度0.360g/cm3のヌレザラメ雪をコブシ大100φ程度に砕き投入したところ, 24.1kg/m2・h融雪できた.
    生活雑排水の混入などにより河川水が汚れており, ヘドロなどの除去に苦労したが, この方法で北陸ベタ雪豪雪帯地における独立住宅の屋根雪処理を経済的に行う実用的な可能性が得られたと思う.
  • 渡辺 成雄, 大関 義男, 佐伯 正夫
    1976 年 38 巻 4 号 p. 196-197
    発行日: 1976/12/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
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