本研究は, 雪国における豪雪襲来の周期と冬の気候変動の特性をとらえ, 雪害予測の判断材料を得ることを目的としている.地点として秋田市を取り上げ, その積雪極値の時系列を統計論的に解析した.秋田市において90年間にわたる資料より, 次の結果を得た.
1) コレログラム解析によると, 秋田市の大雪の消長は11年周期を基礎としている.これは危険率5%で有意である.
2) この周期による積雪量は, 確率計算によれば80cm以上である.
3) 積雪極値の時系列変動分析によると, 秋田市の積雪極値には長周期変動成分の存在が認められた.これは冬の気候変動を示す一つの流れと考えられ, フーリェ解析によればその基調サイクルは86~90年である.
4) 寒冬のピークは今から約40年程前にあり, 現在は暖冬型から寒冬型へ向かう過渡的時期に相当する.
5) 大雪と大雪の間の雪の積り方は, 一つの母集団を形成し, 1890年以降約50年間の変化は, ピークとピークの間は上昇型, 近年は下降型をたどる傾向にある.この変動は太陽活動に対応していることが見出された.
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