雪氷
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41 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • まえがき-雪氷物性シンポジウム開催の経緯
    前野 紀一, 本堂 武夫
    1979 年 41 巻 4 号 p. 231
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    雪氷物性懇談会は, 昭和51年度日本雪氷学会秋季大会 (仙台) における福田明治 (北大工), 前晋爾 (極地研), 前野紀一 (北大低温研) の呼びかけに応じて, 同年11月3日, 日本雪氷学会の中に発足した (雪氷, 38巻4号 (昭和51年12月), P.42参照).懇談会会員は昭和54年6月現在49名である.以来, 雪氷物性研究における情報交換, 討論等の初期の目的を達成するために, 二度シンポジウムが開催された.当日このシンポジウムに出席できなかった懇談会会員および雪氷学会会員のために, ここにその概略を報告する.
  • 小黒 貢
    1979 年 41 巻 4 号 p. 233-237
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    氷の内部摩擦の現状を格子欠陥の立場から解説した.現在氷の内部摩擦の測定は, 1Hzの低周波から180MHzの超音波まで広範囲の周波数領域におよんでいる.そこで, この周波数を低周波 (~1Hz), 中間周波 (0.2~80kHz), 高周波 (1MHz~180MHz) の三つの領域に分け, 転位, 結晶粒界, 不純物, Bjerrumの配向欠陥などに起因する損失について言及した.またその一部のものについては理論的取り扱いを紹介した.
  • 福田 明治
    1979 年 41 巻 4 号 p. 239-244
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    氷の転位の速度が, 直接的に得られてから, 氷の転位に関する研究は, 2つの方向に向って発展している.1つは, 氷の転位の速度そのものを分子の挙動から解明してゆこうとする方向, もう1つは, この速度と転位の分布構造から過去に行われた種々の塑性実験の結果を転位論的に解釈しようとする方向である. 本文は, 現在まで行われたこれらの研究について簡単に述べたものである.
  • 対馬 勝年
    1979 年 41 巻 4 号 p. 245-251
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    氷の摩擦機構の諸説を紹介し, とくに高速, 低速, 低温における氷の摩擦特性および単結晶氷の摩擦の異方性に関する最近の研究を概説した.Evansらは摩擦融解説を定量的に発展させた.Barnes, Taborらは10-6~102cm/sの速度領域で摩擦を行い, 低速度域にクリープによる摩擦を見出した.Schulzらは-5℃~-160℃での摩擦を調べ, -110℃付近に摩擦のピークを見出し, そのピークを氷の力学的緩和によると考えた.Offenbacherらは摩擦抵抗力が真の接触面に比例する関係をえた.対馬は鋼球滑走体を用い, 氷の柱面は底面の2倍の摩擦をもつこと, 柱面上では滑走方位により摩擦が異なるという結果をえた.対馬はそれらを凝着説で説明した.
    今後の課題として, 低速から高速までの一貫した摩擦研究がある.その際, 静止摩擦, ころがり摩擦が摩擦機構の研究の上で有効な手段となるであろう.
  • 本堂 武夫
    1979 年 41 巻 4 号 p. 253-257
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    結晶粒界の構造に関する最近の理論的, 実験的研究の一部を紹介し, 氷結晶粒界の研究における今後の課題を簡単に総括する.
  • 古川 義純
    1979 年 41 巻 4 号 p. 259-265
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    氷の双晶構造が主に多結晶雪結晶の場合に焦点を絞って解説される.Coincidence-Site Lattice (CSL) 理論から低エネルギーの結晶境界面による結合のしかたを予想し, これが天然の雪結晶の中にどの程度の頻度で出現するかを調べることによって双晶の形態が決定される.また, 多結晶の氷結晶が発生する機構を, 考察することによって, 70.3°/ [1120] のCSL関係を満足する結合のしかたが出現し易いことが明らかとなり, 実際の雪結晶に現れる要素結晶の間のc軸のなす角度が70°に集中することを良く説明することができる.
  • 伊藤 驍
    1979 年 41 巻 4 号 p. 267-275
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 雪国における豪雪襲来の周期と冬の気候変動の特性をとらえ, 雪害予測の判断材料を得ることを目的としている.地点として秋田市を取り上げ, その積雪極値の時系列を統計論的に解析した.秋田市において90年間にわたる資料より, 次の結果を得た.
    1) コレログラム解析によると, 秋田市の大雪の消長は11年周期を基礎としている.これは危険率5%で有意である.
    2) この周期による積雪量は, 確率計算によれば80cm以上である.
    3) 積雪極値の時系列変動分析によると, 秋田市の積雪極値には長周期変動成分の存在が認められた.これは冬の気候変動を示す一つの流れと考えられ, フーリェ解析によればその基調サイクルは86~90年である.
    4) 寒冬のピークは今から約40年程前にあり, 現在は暖冬型から寒冬型へ向かう過渡的時期に相当する.
    5) 大雪と大雪の間の雪の積り方は, 一つの母集団を形成し, 1890年以降約50年間の変化は, ピークとピークの間は上昇型, 近年は下降型をたどる傾向にある.この変動は太陽活動に対応していることが見出された.
  • 高志 勤, 生頼 孝博, 山本 英夫, 岡本 純
    1979 年 41 巻 4 号 p. 277-287
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    土を密閉系で水飽和状態で部分凍結し, 間隙水圧の変化を観測することによって凍上力の上限を推定する室内実験を行った.
    軸方向に一定の全圧をかけた円柱状供試体の両端を正, 負の一定温度に保った場合, 熱的には数時間でほぼ平衡に達するが, 間隙水圧の変化は2000時間以上継続する場合もあり, 平衡に達するには長時間を要することがわかった.更に, 凍土内部で冷却面に接してアイスレンズが発達しつづけていた.このことは, 凍土内部では凍結面からアイスレンズ成長面まで不凍水が連続していて, 不凍水が凍土中をアイスレンズに向って吸い寄せられ, そのために間隙水圧が降下したことを示している.平衡に達したとき, 土は間隙水圧と全圧から計算される有効応力状態に抗してもはや水分を吸い寄せ得なくなったと解釈し, このときの応力をその凍結条件における上限凍上力σuと定義した.得られた上限凍上力σuは冷却面温度θcに依存し
    σu=-11.1θc [kg/cm2]
    なる実験式を得た.これは方法は異なるがRadd and Oertle (1973) の実験結果と一致する. 更に, この実験式は, 凍土内部の氷層消長面における熱力学関係から, 氷と水の圧力が異なって変化する場合の氷の融点に関する拡張したClausius-Clapeyronの式と一致することがわかった.
  • 佐伯 正夫, 大関 義男, 渡辺 成雄
    1979 年 41 巻 4 号 p. 289-291
    発行日: 1979/12/31
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
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