雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
44 巻, 3 号
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  • 加藤 喜久雄, 福田 正己, 藤野 和夫
    1982 年 44 巻 3 号 p. 131-139
    発行日: 1982/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    永久凍土中に存在する様々の氷体の安定同位体特性を明らかにするために, アラスカのバローならびにカナダ北部, マツケンジーデルタ地帯にあるタクトヤクタークにおいてピンゴ, 集塊氷, 氷楔, ツンドラ構造土を形成する氷体から採取した氷試料について酸素同位体組成を測定し, その結果について氷体の形成過程と水の起源との関連について検討した.
    氷体はその形成過程と水の起源を反映した独自の安定同位体特性を示し, したがって, 氷体の安定同位体特性から逆にその形成過程や水の起源に関する情報がえられることが明らかになった.また, 同じ種類の氷体について安定同位体地域特性の存在が指摘され, 水の起源のみならず形成過程についても地域により異なる可能性が示された.
    研究例のない, 凍上の際の水の動きに伴う安定同位体分別に関して一つの考えを示し, この考えがえられた結果により裏つげられることを示した.
    永久凍土中に存在する様々の氷体について, これまでほとんど測定例のなかった, 安定同位体特性の解明を試みた.
    連続的永久凍土分布地域に属し, ツンドラ地帯にあるカナダ北部のタクトヤクタークとアラスカのバローにおいて, 1974年7月と1977年7, 8月にピンゴ, 集塊氷, 氷楔, ツンドラ構造土を形成する氷体から試料を採取した.採取した試料について酸素同位体組成 (δ18O) を測定し, 氷体の形成過程や水の起源などと関連づけて氷体の酸素同位体特性について検討した.
    永久凍土中のいくつかの形態の氷体については, 凍上現象により形成されると考えられている.ところが凍上に伴う水の動きと安定同位体の分別作用との関係に関する研究例はない.そこで, 今日までにえられている知識から考えられる凍上により形成されたときの氷体におけるδ18Oの変動パターンを示した.
    ピンゴの氷体は凍上により形成されたと考えられている.そこで, 前述のδ18O変動パターンをピンゴの氷体におけるその変動パターンと対比したところ, 巨大なイブークピンゴ以外のピンゴのものとは良く一致した.したがって, 凍上に伴う水の動きと同位体分別作用との関係に関する考え方の正当性が示されたといえる.巨大なイブークピンゴについては, かなり大きな水体の凍結が関与しているものと考えられる.
    やはり凍上による形成が有力視されている集塊氷については, 凍上によるδ18O変動パターンとは必ずしも一致しなかった.冬に割れ目が生じ, そこへの流入した水の凍結, この繰り返しによりできたと考えられている氷楔に関して, この考えを支持する多様なδ18O値の存在がタクトヤクタークにおいて確認された.ところが, 氷楔が境界部凹地の下にあると考えられているツンドラ構造土の氷体では, バローのものにはδ18O値の多様性は認められなかった.このことは, 同じ種類の氷体について安定同位体地域特性の存在を指摘するものであり, 水の起源のみならず形成過程についても地域により異なっている可能性を示している.
    個々の氷体は独自の安定同位体特性を有し, この同位体特性は氷体の水の起源と形成過程を強く反映しており, それゆえ氷体の同位体特性からその水の起源や形成過程に関する情報がえられることが, 本研究で示されたといえる.
  • 梅村 晃由, 遠藤 清志, 藤原 弘, 服部 一郎
    1982 年 44 巻 3 号 p. 141-147
    発行日: 1982/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    冬に都市の雪を集めて夏に都市を冷房するシステム (集雪冷房システム) の開発のために, 春と夏における貯雪ダム中の融雪量の算定が必要となっている.貯雪中に生ずる冷水の利用を考慮して, 雪水混合体の貯蔵の場合を主体として, 地中埋設タンクによる融雪実験と, 地中熱伝導の数値解析とを行った.両者の比較から, タンク中の融雪量と地中の温度分布とは, タンク壁温度が一定で, 地中の初期温度分布が一様であるという単純化された条件の下に計算する数値解でよく表わされることが判った.これより, 融雪量と時間との無次元化された関係式が求められ, 融雪量の算定が容易となった.
    しかし, 降雨があると, タンクまわりに地下水が流れて融雪を促進することがあり, 上記の関係式よりも, 最大30%までの増加が観測された.また, 雪のみを単独に貯蔵した場合は.同一の条件で, 融雪量は約40%少くなった.これはタンク壁と貯雪との問に生ずる空隙のためであった.
  • 佐伯 正夫, 渡辺 成雄, 大関 義男, 庭野 昭二
    1982 年 44 巻 3 号 p. 149-151
    発行日: 1982/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
  • 田村 曄, 塩田 雄三
    1982 年 44 巻 3 号 p. 153-158
    発行日: 1982/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
  • 謝 自楚, 渡辺 興亜
    1982 年 44 巻 3 号 p. 159-161
    発行日: 1982/09/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
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