雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
45 巻, 1 号
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  • 生頼 孝博, 高志 勤, 山本 英夫, 岡本 純
    1983 年 45 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1983/03/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    アイスレンズと呼ばれる析出氷晶が凍土の強度に及ぼす影響を調べるために, 析出氷晶を含む粘土凍土の一軸圧縮試験を行った.析出氷晶量を表わす値として含氷比wiを用い, wiが50%から4000%までの広範囲の供試体を京都市で採取した藤の森攪乱粘土を用いて作製した.
    一軸圧縮強度の含氷比, 温度, 圧縮方向, 歪速度, 供試体高さ依存性に関する実験結果が示される.
    凍土の成長方向に圧縮した場合には析出氷晶自身の強度は大きく, そのため凍土の強度は析出氷晶の少ない部分の強度に支配される。したがって, 析出氷晶成分が多くなるほど強度が大きくなることがわかった.また, 成長方向に垂直に圧縮した場合には析出氷晶量に関係なく, 同じ圧縮条件のもとではほぼ同じ強度を示すことが明らかになった.
    析出氷晶を含まない凍土の一軸圧縮強度と比較すると, 強度は必ずしも低下するとは限らず逆に増加する場合もあることなどが示される。
  • 常呂川・北見市の場合
    佐渡 公明, 中尾 隆志
    1983 年 45 巻 1 号 p. 13-24
    発行日: 1983/03/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    北海道, 常呂川の中流に位置する北見市内の4地点 (若松大橋, シュプシュブナイ川, 第1観月橋, 第2観月橋) における, 1981~82年一冬間の結氷観測をもとに, 結氷率 (水面の結氷幅/全河川幅) の変化を明らかにした.4地点のうち全面結氷するのが2地点, 部分結氷が2地点である.これらの結氷状況を, 最大結氷率, 結氷・解氷過程の繰返し数および観測期問に対する全面結氷期間の割合を用いて分類した.また, 若松大橋においては結氷率が増えると水位は高く, 水位日変化は気温日変化より遅れて逆位相となる.結氷率を推定するために, 気象要素と水位を説明変数とする重回帰式を求め, 日平均気温や積算寒度の影響が最も大きいことを示した.
    次に, 若松大橋における1981年12月2~8日の熱収支観測をもとに, 河床伝熱量, 粘性逸散により発生する熱量および降雪がもちこむ熱量を考慮した河川水の熱収支変化を求めた。全熱収支量に対する重回帰モデルをいくつか検討し, アメダスデータによる気温, 風速, 日照時間, 降水量に水温を含めた5個の説明変数を用いて全損失熱量を推定し, 同定誤差の標準偏差は0.0618ly/minとなった.この全損失熱量の積算値と表面流速をパラメータにして, 水面が結氷するかしないかの判定図を作成し, 若松大橋では1m/s, 第2観月橋では0.5m/s以上の区間では結氷しなことがわかった.
  • 吉田 稔, 伏見 碩二, 池上 宏一, 竹中 修平, 高原 浩志, 藤井 理行
    1983 年 45 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 1983/03/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    北アルプス北部の立山東面にある内蔵助 (くらのすけ) 雪渓には, 夏の終わりに, 融解水流が流入する縦穴が多数出現することがある.1977年から1982年までの6年間の調査で, この縦穴は, 1977年 (29個), 1979年, 1980年 (23個) の3回出現した.縦穴は, 越年する氷体部に形成されており, 氷体上部の積雪が消えると現われる.縦穴はいくつかの群に分けられ, ひとつの群の中では直線上に並ぶ傾向が見られる.開口部の形状は, 長径0.8~1.7mの長円形が多く, 深さは1mから深いもので20mにも及ぶ. こうした内蔵助雪渓の縦穴は, 過去に形成されたものが, 現在でも雪渓表面が著しく低下した年に出現するものである.この縦穴の形状・分布の特徴は, 氷河の消粍域で見られるムーラン (moulin) の特徴とよく一致している.ムーランは, クレバスなどの構造的弱点がないと形成されないといわれているので, 内蔵助雪渓にも, 過去にクレバスなどが存在し, そこに融解水流が流入し縦穴が形成されていたという, 現在とは異なる状態の時期があったものと推定される.
  • 第1報, 直管における圧力損失
    白樫 正高, 川上 郁雄, 佐藤 紳二, 脇屋 正一
    1983 年 45 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1983/03/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    雪の水力輸送を検討する際にまず必要とされる円管内の雪水混相流の管摩擦損失を実験的に調べた.鉛直および水平に設置された直径40mmの直管における圧力損失, 管内平均流速, 吐出流体に含まれる雪の体積分率を測定すると同時に透明管部において流れの状態を観察した.水との密度差が雪と同程度で粒子寸法がほぼ等しいプラスチックビーズについて同様の実験を行った.管内の雪粒子は互に付着して大きな塊となって移動し, 流れの状態に対する重力の影響はプラスチックビーズの混相流ほど明瞭でない.管摩擦係数はレイノルズ数Rmが小さい範囲では雪の分率の増加とともに清水 (せいすい) に比べ著しく大となるが, Rm>5×104 (流速Um>2m/s) においては雪の分率によらず清水とあまり変らない.これらの状況は管の姿勢にほとんど影響されない.
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