雪を工業や市民生活に利用する目的をもって, ゼラチンの泡を断熱覆いとする融雪の制御法を, 自然積雪, 人工堆雪および地中埋設槽内に集めた雪の3種の屋外実験によって研究した.
融雪速度は, 泡被覆をしない自然雪面の10.0cm/dayから, 地中埋設槽内の雪塊に泡被覆をした実験の1.3cm/dayまで低下した.これらの値は, 雪が夏まで保存できることを示している.しかし, 20~30日後に雪の変形が大きくなったとき, 融解速度の急激な上昇がしばしば観測された.これは, 暖かいすきま風が吹き込むと, 泡の剥離と雪の変形が相互に促進するという, 加速の機構が働くものと結論づけられた.そしてまた, 地中埋設槽内に浮く雪塊の中の空気と水の含有量の変化が, 熱と質量の収支の解析によって, 明らかにされた.
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