ポンプ・管路系による雪の水力輸送技術の機能向上を目的として, 管内雪水二相流における雪の濃度の計測と制御を行う機器を開発し, さらに高濃度の雪水二相流の圧力損失を測定した結果に基いて適正な輸送条件を検討した.
製作された雪分率測定器により円管内の雪水二相流の雪の体積分率
Cが,
C=0~30%の範囲において3%の精度で決定された.製作された水分離器 (管内の雪水二相流から水を分離してそれより下流の雪の分率を高める装置) により, これまで困難であった,
C=35%に達する高濃度の安定した雪水二相流を得た.この水分離器を用いた実験から, 水平管内の雪水二相流の圧力損失は雪分率
Cがある臨界値
Ccrを越すと, 急激に増加することがわかった.
Ccrは流速
Uとともに僅かに増加するが, 概略, ざらめ雪の場合
Ccr≧25%, 新雪の場合
Ccr≧22%程度である.雪の輸送量と輸送距離が与えられたとき動力を最小とするには, 実用的流速の範囲においては雪分率をできるだけ
Ccrに近い値とするのが適当である.
抄録全体を表示