雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
51 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 大熊 孝, 大川 秀雄, 神立 秀明, 宮 拓男, 水落 直人, 中村 一郎
    1989 年 51 巻 4 号 p. 239-251
    発行日: 1989/12/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    流雪溝, 消融雪溝は地表水を利用する除雪施設であり, 市街地の雪処理において, 地下水利用の消雪パイプ方式に代替する方法として近年注目をあび, 各地で施工されている.しかし, いずれも標準的な計画・設計法が確立されておらず, 試行的に計画・設計されることが多い.そこで, 本論文は, 流雪溝と消融雪溝に関して, 除雪対象雪量の算定方法, 流雪能力・消融雪能力の評価, 必要水量算定方法等について述べ, 標準的計画・設計方法の基礎について提言する.
  • 力石 國男, 菅谷 重平, 前田 秀樹
    1989 年 51 巻 4 号 p. 253-264
    発行日: 1989/12/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    青森市が日本有数の豪雪都市になっている原因を考察するため, 青森県内の日平均気象データ及び秋田の高層気象データを統計的に解析した.その結果次のような降雪特性が明らかになった。まず, 青森の降雪は他の地域の降雪との相関が良くなく, 青森付近だけ独特な降り方をしている.また, 青森の降雪は秋田の高層気象との相関が高く, 青森に多量の雪が降る日には, 上空に寒気が流入してきて, 対流混合によって水蒸気が高度1500~3000mまで運ばれている.さらに, 青森の降雪は地上気象との相関も高く, 気温が低く風が強いほど降雪量が多い.また, 雪を運ぶ風の向きはほぼ南西の方向に一定している.このような降雪と高層気象及び地上気象 (気温, 風向・風速) などとの高い相関は, 津軽地方の他の地域では見られない特徴である.
    これらの青森市の降雪特性は次のように解釈される.まず, 青森の降雪が他の観測点と相関が低いのは, 青森が山脈などの地形により他の地域から隔絶されており, 降雪に対するこれらの地形の影響が大きいためである.また, 高層気象と相関が高いのは, 青森の降雪が本質的に山雪であることを示唆している.さらに, 地上気象との相関が高いのは, 青森の場合には気温の低下・風速の増加に伴って上昇気流が生ずる一定の場所があり, 風の向きがそこで生成された雪片を青森に運ぶ方向に一定しているためである.雪片を運ぶ風の向きはほぼ南西であるので, 雪片の生成場所としては, 八甲田山系の西~北西側斜面上空が挙げられる.すなわち, 青森の雪は八甲田山系の西~北西側斜面上空にできた山雪が風に乗って里に降ったものであると考えられる.
  • 第3報, 長岡市を対象としたシステムの改良
    梅村 晃由, 早川 典生, 白樫 正高, 内倉 章夫, 谷内 宏, 本多 昭喜
    1989 年 51 巻 4 号 p. 265-274
    発行日: 1989/12/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    第1報および第2報で前に報告した集雪冷房システムに対し, 長岡市内の16 km2の同じ地域を対象に, 改良したシステムを設計した.時間排雪能力は前と同じ5000 t/hであるが, その貯雪能力は半分の75万t/yである.設計には, 新しい技術として, 改良した雪押込機, 地域を高排雪地域とそれ以外に分ける配管, 雪分率の測定と制御装置, 貯雪施設の断熱のための浮き基礎・布張り屋根, などを採り入れた.
    改良したシステムの能力と経済性が検討され, 結果として, このシステムは, 快適な都市生活を保証するのに十分な, 除排雪と冷房の速度と容量を有すること, 新しい技術の導入の著しい効果によって, この建設費は, 前のシステムの1217億円から, 589億円に半減すること, などが分かった.そして, この値は, 改良したシステムが, 既存の流雪溝に匹敵することを意味する.しかも, 前者は後者よりも安全で使いやすい.しかし, 年間8.68億円かかる運転管理費は, 予想される4.62億円の冷房収入のみでは賄えない.
  • 山本 英夫, 生頼 孝博, 伊豆田 久雄
    1989 年 51 巻 4 号 p. 275-284
    発行日: 1989/12/30
    公開日: 2009/09/04
    ジャーナル フリー
    本論文は, 土の凍結膨張に及ぼす含水比, 空隙比.応力履歴等の内的因子の影響を調べる目的で, 圧密した飽和粘土を用いた凍上実験の結果を示し, 考察したものである.任意の圧密応力σcで圧密した供試体を, 水分移動に対して開放系で, 拘束応力がσ1の状態で一次元的に一定速度で凍結を行った.初期供試体体積に対する凍結膨張量の割合で定義する凍結膨張率ξは過圧密比OCR (=σc1) のある値で最大値をとる事がわかった.飽和土の場合, 土粒子比重と含水比, 空隙比 (率) 等の物理定数や応力履歴のいずれか一つが決まれば他の定数も決まる.従って, これらの定数とξの関係は, ξとOCRの関係と同じ傾向を示すことになる.ξとσ1あるいはOCRの関係について, 凍結中の動水抵抗と未凍結部分の圧密を考慮して理論解析した.
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