雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
53 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 山崎 剛, 櫻岡 崇, 中村 亘, 近藤 純正
    1991 年 53 巻 2 号 p. 115-123
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    積雪の総合的な変成過程を気象データからシミュレートする鉛直一次元モデルを開発した.このモデルは,積雪面熱収支と内部熱伝導,液体水の流下,粘性圧縮を考慮し,積雪温度,含水量,積雪密度,汚れ粒子濃度の鉛直分布の時間変化を計算する.モデルに現れる物理量のパラメータ化は,アルベード,熱伝導率,濡れ雪の圧縮粘性係数について,従来の方法に改良を加えた.特に,アルベードは汚れや含水による低下の効果を考慮した.
  • 山崎 剛, 櫻岡 崇, 中村 亘, 近藤 純正
    1991 年 53 巻 2 号 p. 125-133
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    前報(山崎ほか,1991)で示した積雪の変成をシミュレートするモデルの検証を行った.まず,山形県蔵王坊平において,気象および積雪断面の観測を行いモデルを適用した.積雪温度・含水率のプロファイルなどの日変化およびアルベードの計算は観測とよく対応した.さらに,北海道大学低温科学研究所の気象データ,積雪断面観測データと札幌管区気象台の気象データを用いて90日間の長期積雪変成過程のシミュレーションを行った.モデルは,アルベード,積雪深,積雪水量,積雪密度プロファイルの長期間にわたる変化をおおよそ再現することがわかった.
  • 佐藤 威
    1991 年 53 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    ネット式吹雪計内部に捕集した吹雪粒子の昇華量について,熱収支の原理に基づく理論計算および気温・風速を制御した低温室内で測定実験を行なった.理論計算の原理,実験方法は佐藤(1990)に従った.理論計算による昇華量の気温,顕熱の輸送係数(水蒸気の輸送係数にほぼ等しい),相対湿度に対する依存性は,佐藤(1990)が示したサイクロン型吹雪計の場合と定性的に一致する.昇華量の測定実験によれば,飛雪流量測定に及ぼす昇華の影響はサイクロン型吹雪計の場合と比べ同程度以下である.測定された昇華量から,吹雪計内部に貯まった雪の顕熱(水蒸気)の輸送係数を求めた.輸送係数は貯まった雪の長さとともに大きくなり,密度とともに小さくなる.また,外部風速に比例する.これらの輸送係数の性質を考慮し,飛雪流量測定時の気象条件(気温,外部風速,相対湿度)から昇華量を簡便に知るためのチャートを作成した.
  • 第一報:温度・風速による影響
    内田 武, 楠本 韶, 安藤 司文
    1991 年 53 巻 2 号 p. 145-154
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    着氷の一種である霧氷は,冬の美しい自然の造形としてよく知られている.長崎県島原半島中央に位置する雲仙の霧氷も有名ではあるが,霧氷が生成するための気象条件はなかなか満足されないため,特に西日本地域においては,霧氷が着氷する機会はかなり限られている.そこで,この研究は室内での人工的な霧氷の生成を可能にし,年間を通して霧氷の観測ができるようにすることを目的としている.本実験では,内径30mmの透明アクリルパイプを用いて,温度は-5・-10℃,風速は5・10・15m/sと変化させ,被着氷物として注射針と木の棒を使用した.また,加湿には超音波加湿器からの霧を使用した.これらの条件下で実験を行い,実験条件と着氷生成の特徴との関わりについて検討した.その結果,実験条件を様々に変化させることにより,密霧氷・粗霧氷・雨氷・樹霜などを着氷させることができた上,着氷形状や着氷速度と実験条件(温度・風速)との関係が明らかになってきた.また,本実験で得られた捕捉率は,他研究者の値よりかなり小さくなったが,この原因については今後検討を要する.
  • 五十嵐 高志
    1991 年 53 巻 2 号 p. 155-162
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    温暖な地域における新雪の性質を明らかにするために,長岡において観測された積雪の性質のうち,降雪直後の表面から5cm以内の新雪について解析した.7冬季の観測結果から,温暖な地域の新雪の性質の特徴として以下のことが分かった.
    1)新雪の月別密度の頻度分布は,最頻値が1月は0.05g/cm3と0.07g/cm3,2月には明瞭に0.06g/cm3で分布が突がっている.また,測定値の最小は0.02g/cm3であった.
    2)冬季間の新雪の密度の最頻値は,0.07g/cm3であった.
    3)新雪の硬度の測定範囲は0.002kgf/cm2から0.250kgf/cm2であり,最頻値は0.010kgf/cm2以下に出現した.
    4)新雪の温度は0.0℃から-0.5℃に最頻値が出現し,新雪の温度は-3.4℃以下になることは少ない.
    5)新雪の温度と観測時の気温の関係は,観測時の気温より新雪の温度が高い場合,また,観測時の気温より新雪の温度が低い場合のどちらの場合にも温度差があるときには,その最頻値が0.1℃から0.5℃の範囲に出現し,前者は21.4%,後者は11.3%であった,温度差を0.5℃間隔でとった場合,1.0℃,1.5℃と温度差が大きくなるにつれて頻度は急激に減少している.
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