天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR),さらには,それらを種々の割合でブレンドしたNR-BRブレンドゴムと氷との摩擦を行った.実験は,-20℃から0℃までの温度で,また,種々の接触圧力で行った.その結果,いずれの用いたゴム試料も,-15℃以下では高い摩擦係数を示すが,-10℃以上の温度では摩擦係数は急激に低下し,0℃では最も低い値を示した.用いたゴム試料の中で,NRは最も高い摩擦係数を示し,NRにBRをブレンドする割合を増やすほど,摩擦係数は低下を示した.そして,BR試料では最低の摩擦係数を示した.いずれの試料も,接触圧力が高いほど摩擦係数は低下した.ゴムと氷との接触面におけるせん断強さ(単位面積当たりの摩擦力)は,接触圧力に比例して増大する傾向が見られた.-20℃の低い温度では,各接触圧力でNRは最もせん断強さが大きく,BRが最低であり,NRにBRをブレンドする割合いを増やすほど低下する傾向を示した.しかし,温度が0℃に近づくにつれ各ゴム試料ともせん断強さは低下し,試料間の差はみられなくなる.これは,氷上の擬似水膜によって接触面が覆われ,固体接触部が減少して摩擦の差が見られなかったと考えられる.
抄録全体を表示