雪氷
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Print ISSN : 0373-1006
57 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 第1報長岡市商業地域の既存システムの費用便益計算
    諸橋 和行, 梅村 晃由
    1995 年 57 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 1995/03/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    豪雪都市における今後の除排雪対策を考える上では,種々の除排雪システムの検討が重要であり,そのため本研究では,除排雪システムの費用と便益を計算し,コスト面からの評価を行う.
    本報では,その計算方法を示し,長岡市の中心部(商業地域25町内)の車道を対象として,現在稼働している消雪パイプの費用と便益を,長岡市の除雪実績データ等を用いて計算した.結果は,便益が費用を大きく上まわり,費用便益比B/Cでみると,対象地域全体では平雪年で10.9,大雪年で16.1と高い経済性を示した.次に機械除雪について,同地域で稼働した場合の経済性を求めたところ,B/Cは平雪年で10.7,大雪年で7.6となった.
    対象地域全体における,各除排雪システムの経済性と降雪累計との関係を求めたところ,どちらのシステムも常に便益の方が費用より大きな値となった.また,少雪年では機械除雪の方が高いB/Cを示すが,降雪累計600cm以上の年では,消雪パイプのB/Cの方が高い値を示すようになる.
  • 第2報 流雪溝計測システムの開発
    北原 拓夫
    1995 年 57 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 1995/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    前報(北原・白樫,1993)において,雪水または氷水混合体中の雪氷粒子の分率測定方法の開発について報告した.この方法を流雪溝に適用した流雪溝計測システムを提案する.これは流雪溝において雪分率,水深,雪塊の流速等の連続測定を行うと同時にそれらのデータにより雪の輸送率(単位時間あたりの輸送量),積算輸送量などを実時間で演算し,諸データの表示・記録・保存などを行うものである.ここではひとつの基本的なシステムについて各種の検討および試作と室内試験を行った.計測試験は室内に小形の回流式の実験用流雪溝を設置して行った.各測定は良好に行われ,システム全体としても正常に機能した.
  • 石坂 雅昭
    1995 年 57 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 1995/03/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    日本の積雪地帯のうち,メッシュ気候値が整備されている地域を,その地域の積雪の堆積環境から推定される雪質を考慮して,「湿り雪地域」,「乾き雪地域」,および「しもざらめ地域」の三つに分けた.ただし,湿り雪地域と乾き雪地域の境界は,さほど明瞭ではないので,その中間的な遷移領域として「中間地域」を設けた.湿り雪地域では,厳冬期にも融雪や降雨による積雪表層からの水の浸透によって,積雪の全層が水を帯び,雪温は一冬季をとおしてほぼ0℃で経過し,温暖変態が支配的である.一方,これより気候的に寒い地域でしもざらめ雪地域でない積雪地域を乾き雪地域とした.すなわち乾き雪地域では,厳冬期には雪温が0℃以下に保たれることが多く,寒冷変態が卓越する.しもざらめ雪地域では,寒冷な上に積雪が少ないので,積雪層内の温度勾配が大きく,しもざらめ雪が発達する.湿り雪地域と乾き雪地域は気温によって,またしもざらめ雪地域は,気温と積雪量によって決まると考えた.前者は筆者らが行った中部地方の積雪調査にもとづき,1月の平均気温の気候値から推定した.すなわち,1月の平均気温が0.3℃以上の気候値をもつ地域が湿り雪地域に,-1.1℃以下が乾き雪地域に分類され,その間の気温帯は中間地域となった.また,後者は秋田谷・遠藤(1982)の判別式の変数に気候値から推定したものを代入して求めた.
  • 上田 豊
    1995 年 57 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1995/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    アジアでは比較的情報の多い中国西部と旧ソ連の氷河変動資料をまとめた.1960年代から80年代初期にかけて,コンロン山域以外は後退氷河が多く,アルタイ,天山,パミール,チーレン山域の順に北方ほどその傾向が強い.しかし,この間に中国西部やパミールでは1960-70年代に後退から前進に転じる氷河が増え,一方,旧ソ連天山やコーカサスでは後退傾向が優勢なまま,大きな変化はない.また,約30年∼60年間程度の氷河変動データのある乾燥域(大陸性)の3氷河(2∼4km長)と湿潤域(海洋性)の3氷河(10∼13km長)について,年間末端変動距離の氷河長に対する割合の年による変化をみた.1980年代はいずれの氷河も5m/km程度までの後退範囲にあったが,毎年観測されているTs.Tyuksu氷河(西部天山)とウルムチ1号氷河(東部天山)では,この間に後退量が増えつつある.この2氷河について,氷河変動と夏気温や年降水量との関係を紹介した.
  • 亀田 貴雄
    1995 年 57 巻 1 号 p. 41-56
    発行日: 1995/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    北極域の近年の氷河変動に関するこれまでの観測や研究のなかで主要な知見をまとめた.まず北極域の氷河の地理的分布について紹介し,次いでそれぞれの地域における氷河変動の観測結果を紹介した(グリーンランド,スバルバード諸島,アイスランド,北極カナダ,北極ロシア).最後に100年以上の観測結果がある代表的な氷河の変動をまとめた.北極域の氷河変動は地域により異なる傾向を示すが,1850年頃まで前進期,それ以降現在までを後退期または停滞期として分けられる氷河が多い.
  • 古気候と古環境
    長田 和雄
    1995 年 57 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 1995/03/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
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