本研究では, 雪田土壌を用いて過去の残雪規模の変動を推定する方法について検討した.奥羽山地北部の笊森山の雪田には, 埋没泥炭層が認められる.埋没泥炭層は, 火山灰との層位関係から約1000年前に形成されたものと考えられる.現在の雪田の表層では, 雪田の中心部ほど消雪時期が遅く, 植物の生育期間も短くなるため, 植物遺体の堆積量が減少するとともに土壌有機物の量も減少する.埋没泥炭層は10世紀頃に夏季の残雪規模が縮小して, 現在よりも植物遺体の堆積量が増大したために形成されたものと考えられる.
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