登山者,スキーヤーが自分で雪崩の危険度を評価することを目的として,ハンドテストの代わりに「バネ秤と布」で弱層のせん断強度と上載積雪の荷重を測定し,斜面の積雪の安定度指標を求める方法(河野方式)を提案した.この方式の精度検証の為に,せん断強度に関して,上載積雪を取り除いた条件で,従来のシアーフレームによる測定値との比較を行った.そして,河野方式が同一測定条件におけるシアーフレームの測定値とほぼ1割以内の誤差で一致し,必要な精度を有していることを確認した.また,4つの山域で一冬に51回,河野方式で安定度の測定を行い,その実用性について検討した.さらに,小規模人工雪崩実験を3つの山域で12回行い,両者の比較を行った.この比較の結果は,安定度指標SI(flat)が2以下になると雪崩が発生しやすくなり,1.5以下では特に発生しやすいという従来の観測値とほぼ一致し,この方式が有効である事を示した.
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