積雪中の水の移動を知る上でもっとも重要なパラメータである不飽和透水係数を, しまり雪 (平均粒径0.5mm, 平均密度530kg/m
3) および中ざらめ雪 (1.3mm, 620kg/m
3) と大ざらめ雪 (1.7mm, 610kg/m
3) の3種類の雪について実験室で測定した.実験は, 0℃の恒温槽内にて, 水の流下フラックスを一定にする「フラックス制御型定常法」によって行った.積雪中の水の負圧 (サクション :
h) と流下フラックスから, 不飽和透水係数
Kとサクション
hの関係
K (
h) を求めた.次に水分特性 (サクションと含水率の関係) の測定結果を用い, 不飽和透水係数と重量含水率θ
wの関係
K (θ
w) に変換した.その結果, 不飽和透水係数Kは, 含水率の減少にともないべき乗の関係で減少することが分かった.これを
K=
aθ
mで表わすと, 減少率を表わす
mは雪質の違いによって大きな差があり, しまり雪 : 1.9, 中ざらめ雪 : 4.8, 大ざらめ雪 : 6.3となった.従来の研究では, べき乗数を一義的に3とすることがあるが, 雪質によって使い分けなくてはならない.また不飽和透水係数は, 高い含水率の時, ざらめ雪>しまり雪, 低い含水率の時, ざらめ雪<しまり雪の関係が得られた.このことは, ざらめ雪としまり雪で層を形成している時, 含水率によっては浸透を阻害する層構造があることが示唆された.
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