地球温暖化にともない降雪量が減少すると,冬季の降水が積雪として貯留されなくなるため,河川への影響が極めて大きいと考えられる.予測されている温暖化時の気候値を基に,国内の主要20河川流域にもたらされる降雪水量を計算し,その変動特性を調べた.温暖化時の年降雪水量は,解析した全ての河川において減少する.北海道の河川では現在からの減少率は小さい.太平洋側の河川では,減少率は中間だが減少量は小さい.西日本の河川では減少率は大きいが,減少量は小さい.これらの地域の河川では,流出特性の変動は小さい.解析した河川のうち最も影響を受けたのは,東北・中部日本海側に流域を持つ河川の信濃川だった.減少率は約5割と中程度だったが,減少量は最も大きく,100年後の年降雪水量が約4.6×10
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3減少した.これら東北・中部日本海側の河川では,温暖化にともなう年降水量に対する降雪水量の減少量が大きいため,流出特性が大きく変わると推定される.
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