雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
64 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 橋本 重将, 周 石〓, 中尾 正義, 坂井 亜規子, 上田 豊, 石川 信敬, 成田 英器
    2002 年 64 巻 2 号 p. 163-172
    発行日: 2002/03/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    1998年2月から4月にかけて北海道母子里で積雪調査を実施し,そのうち融雪期の湿潤積雪層の同位体比の時間変化過程を調べた.調査では,湿潤積雪から層毎に,固相試料(雪粒子)と液相試料(間隙水)とを別々に採取した.観測期間中の降水と積雪下面からの流出水もあわせて採取した.それぞれの試料についての酸素,水素の同位体比を測定した.
    その結果,雪粒子の同位体比は間隙水よりも大きい値をとった.その差は表面から下層にいくほど増加する傾向が認められた.また,雪粒子,間隙水ともその同位体比は時間とともに大きくなる結果を得た.これらの結果を解析したところ,積雪表面で融解してできた間隙水の流下が,雪粒子の同位体比の変化に大きな影響をもたらす事が示唆された.
  • 赤田 尚史, 柳澤 文孝, 本山 玲美, 川端 明子, 上田 晃
    2002 年 64 巻 2 号 p. 173-184
    発行日: 2002/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    冬季に,日本海側を中心に湿性降下物中に含まれる非海塩性硫酸イオン濃度が増加する現象が見られ,その原因として中国から冬季北西季節風によって硫黄化合物が輸送されてきていると言われている.その現象を明らかにするために,日本各地の湿性降下物に含まれる非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比を測定した.その結果,硫黄同位体比は各地とも夏に低く,冬に高いという季節変化を示した.しかし,冬季の高い硫黄同位体比に違いが見られた.そこで高層天気図を用いた流跡線解析と東アジア地域で産出・使用されている化石燃料の硫黄同位体比から硫黄同位体比の違いを検討した.中国では北部ほど高い同位体比を持った石炭が燃料として使用されていることから,冬季北日本には中国北部からロシア極東地域で排出された高い同位体比の石炭燃焼起源硫黄酸化物が輸送され,また西南日本には朝鮮半島付近から中国中部及び南部で排出されたものが混合して,同位体比が平均化されて輸送されてくることが推定できた.
  • 澤田 結基, 石川 守, 小野 有五
    2002 年 64 巻 2 号 p. 185-190
    発行日: 2002/03/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    本研究では大雪山系東ヌプカラウシヌプリ(標高1251m)の岩塊斜面において得られた積雪底地表面温度(BTS)としもざらめ雪の層厚の対応関係を検討した.BTS値としもざらめ雪の層厚にはよい相関関係(直線近似:R2=0.79)が認められた.近接する気象観測点の気温と積雪深データから積雪の温度勾配を推定すると,温度勾配は積雪の薄い12月に最も大きくなる.この推定結果より,12月にはBTSが低い部分でも,しもざらめ雪が発達したと予想される.したがってしもざらめ雪の層厚の違いは,積雪層が厚くなった1,2月に拡大したと考えられる.積雪構造は,BTS値が高く推移したか,または低かったかを示す指標として用いることができる可能性が示された.
feedback
Top