雪氷
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64 巻 , 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 河田 脩二, 宇留野 総記, 高橋 浩樹, 畠中 洋志
    2002 年 64 巻 3 号 p. 223-231
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    KOH添加氷のNMR(パルス磁気共鳴吸収)の実験を行い,融点から100K(-173℃)間での陽子スピンー格子緩和時間:T1の測定を行った.励起周波数を16.1MH z,23.1MH z,31.0MH z,47.5MH zと変化させ応答の変化を調べた.
    T1の温度変化及び周波数変化の解析から, KOH添加氷の中にスピン温度の異なる二つのスピン系(陽子の運動状態が異なる)の共存が明らかとなり,更に得られた高温領域から低温領域へのスピン系間の結合係数(エネルギーの流れ)の変化と誘電緩和との対比から,KOH添加氷の誘電緩和におけるKOH添加固有の誘電緩和の生成・発達更には陽子秩序化の相転移に至る過程を理解するための有意な情報が得られた.
  • 福田 明治, 米川 妥江, 長谷川 裕則
    2002 年 64 巻 3 号 p. 233-240
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    氷単結晶の試験片に片持梁荷重を掛け,曲げ変形を行う.角棒が曲がったとき,荷重の掛ける方向を反転する.これを繰り返して,加工硬化を調べた.その結果,加工硬化は全く起こらなかった.これは氷の塑性変形は六方晶底面上のバーガース・ベクトルaをもつ転位が発生し,底面上を運動することで成される.しかし,六方晶のc軸方向のバーガース・ベクトルをもつ転位が全く発生しない.よって,転位の絡み合いがないためであると結論された.
  • 水野 悠紀子
    2002 年 64 巻 3 号 p. 241-248
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    氷の圧縮実験と光電子増倍管を用いた光(フォトン)の同時計測を行なった.それぞれの時間分解信号から,氷が破壊する時,または,クラックを形成する時に可視光領域(300~650nm)の光を出すことを検証した.さらに,測定波長域が近紫外域(200~320nm)と近赤外域(300~850 nm)を含む光電子増倍管を用い,それぞれ可視域と近紫外域,可視域と近赤外域の同時測定を行った.同時測定の相関から,発光強度が強い光には短波長成分が,発光強度の弱い光には長波長成分が多いことを明らかにした.
    可視域(300~650nm)の全スペクトルを含む発光強度は破壊時の歪エネルギーの増大とともに増す傾向を示した.しかし,同一の歪エネルギーにおける強度のばらつきは大きく,このことは発光強度が個々のクラックの特性にも大きく依存することを示唆する.
    氷の破壊時に可視域の光を放出するという事実はクラック表面,または先端で約1.9eV~4.1eVのエネルギーの電荷が形成されると考えられる.
  • 島田 亙, 古川 義純
    2002 年 64 巻 3 号 p. 249-257
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    過冷却水から成長する氷結晶は,最初は薄い円盤状に成長するが,やがて形態不安定を起こし,以後は樹枝状結晶として成長する.これらの氷結晶は厚さが非常に薄いため二次元的に扱われてきたが,現実の結晶は三次元である.そこでマッハツェンダー干渉計を用いて氷結晶の成長を“その場”観察した.得られた干渉縞から三次元的な形態を解析し,また形態不安定発生機構,円盤状・樹枝状の成長機構を調べた.円盤状結晶は二枚の基底面で挟まれており,基底面の成長が「界面キネティクス」によって律速されているのに対し,側面は「熱拡散」で律速されていた.また,形態不安定発生の臨界値は半径ではなく厚みであり,発生する揺らぎも円周上ではなく厚み方向の形状が先に非対称になることがわかった.一方,樹枝状結晶は一枚の平らな基底面と高次の曲面で構成されており,樹枝先端の成長速度は「熱・物質拡散」と「界面張力」を考慮した普遍法則と一致するが,先端曲率半径は一致しなかった.従って,過冷却水から成長する氷結晶の形態を理解するためには,上記の二要素に「界面キネティクス」を加えた三要素すべての考慮が必要であることが明らかになった.
  • 荒川 政彦, 前野 紀一
    2002 年 64 巻 3 号 p. 259-267
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    太陽系の外惑星領域に存在する氷衛星の表面にはクレーター地形が普遍的に存在する.このクレーターは小天体が高速度で衝突することにより形成される.天体同士の衝突は太陽系において頻繁に起こる現象であり,その起源や進化に決定的に重要な役割を果たしている.現在,氷の衝突物性を研究するため衝突速度100m/s~4km/sという広い範囲で,低温室において衝突実験が行われている.氷内部に設置した圧力ゲージや超高速度カメラを用いたその場観測により,衝突破壊に関する素過程が明らかになってきた.衝突最大破片,サイズ分布等,衝突破壊に関する多くの特徴は無次元衝突応力と良い相関がある.この無次元衝突応力は衝突試料に生じた反対点での圧力と物質強度の比であり,衝撃波の発生と伝播・減衰により記述される.氷は衝突点近傍では距離の-1乗で圧力が減衰し,衝撃圧力が150~300MPa以上では高圧相氷が発生し,その衝撃波形に影響を及ぼす.氷天体は衝突破壊後,その天体サイズと衝突条件に従って重力により再集積が起こるが,これらの実験的研究は,その条件を求めるために用いられる.
  • 権田 武彦, 清 忠師
    2002 年 64 巻 3 号 p. 269-278
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    低過飽和度で気相から成長する氷結晶(雪結晶)の晶癖変化の温度依存性の機構を実験的に研究した.その結果,晶癖変化の温度依存性は氷結晶の底面{0001}と柱面{1010}上に形成される成長丘の傾きの異方性が温度に依存することによって説明できる.また,高過飽和度で気相から成長する氷結晶の側枝(第2枝)の形成機構を実験的に研究した.その結果,水飽和近辺とこれより高い過飽和度では側枝の形成機構が異なる事が分かった.
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