地吹雪の計算を行うに際して,底面での濃度の境界条件を与えることが必要である.濃度の境界条件として最も合理的なのがフラックス型あるいは濃度勾配型の境界条件である.このような境界条件の設定では雪の連行係数を用いる方法が考えられる.これは底面での巻き上げフラックスを雪粒子の沈降速度で無次元化したもので,その値は空気の密度,底面でのせん断応力,雪粒子の密度,粒径,沈降速度などの関数と考えられる.本報告では,南極みずほ基地での地吹雪の観測結果に基づき,数値モデルとしてk-ε乱流モデルを採用して,雪の連行係数を推定する.雪の連行係数は河川における砂の連行係数と比較して,2から3オーダー小さくなることを明らかにした.この理由として,砂粒子の水中比重に対して,空気中の雪粒子比重が遥に大きく,乱れによって雪粒子が巻き上げられにくいことがあげられる.
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