雪氷
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65 巻 , 3 号
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  • 佐藤 研吾, 高橋 修平, 谷藤 崇
    2003 年 65 巻 3 号 p. 189-196
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    地吹雪の発生条件を調べるために,ミニ風洞を用いて自然雪面の雪粒子飛び出し風速を測定し,雪粒子終端落下速度,粒径,安息角,結晶形,気温との関連を調べた.飛び出し風速は新雪時約5m/sであったが,1~3日間で10m/s以上となった.結晶形の違いによる飛び出し風速と終端落下速度の関係を求めた.雪粒子の安息角測定による摩擦係数および飛び出し風速,終端落下速度から雪面と雪粒子間の結合力を見積もった.
  • 佐藤 威, 東浦 將夫
    2003 年 65 巻 3 号 p. 197-206
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    雪面付近の飛雪流量鉛直分布の野外観測結果に対して,河村(1948)による飛砂の質量フラックスの理論式を適用し,吹雪跳躍層の鉛直構造を表すパラメータ(飛雪粒子の跳躍高度h0,雪面での飛雪流量q0,跳躍層高度hsal)および全吹雪輸送量Qsalを求めた.これらと,摩擦速度,降雪の有無,気温,ならびに積雪深の変動と気温から推定した積雪硬度との関係を調べた.ただし,降雪強度の大きい時の観測値はあらかじめ解析対象から除いた.主な結論は次の通りである.
    (1) h0,hsalは摩擦速度とともに増大し,積雪硬度が小さい(大きい)時に小さく(大きく),降雪の有無には依存しない.また,hsal/h0〓6.5である.
    (2) q0,Qsalは摩擦速度とともに増大し,積雪硬度が小さい(大きい)時に大きく(小さく),降雪の有無による違いはない.
    (3) h0,q0,Qsalの値は,しまり雪を用いた風洞実験の結果と矛盾しない.
  • 老川 進, 苫米地 司
    2003 年 65 巻 3 号 p. 207-218
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    建物近傍の雪の堆積と浸食の形成プロセスを明らかにするために,2000年冬季に札幌市郊外において立方体形状の建物モデルを設置し積雪深の時間変化を観測した.
    建物の風上と側面における堆積と浸食のプロセスは3つに区分される.1つは風速減少時に起こる堆積現象である.跳躍層において高風速では高い飽和空間密度で平衡している.その状態から風速が減少し短時間に低い飽和空間密度へ移行すると共に,流入側で生じた過飽和の粒子(rich particles)が低い飽和空間密度の領域に至ると飽和空間密度へ戻そうという動きが起こり過飽和の粒子は堆積する.もう1つの堆積現象は風速増加時に起こる.風速増加により発生した多量の粒子が建物風上の流れの分岐域で停滞し過飽和の粒子(rich particles)が生成され堆積する.3つめは風速増加時に起こる浸食現象である.風速が増加し短時間に高い飽和空間密度へ移行すると共に,流入側の不飽和の粒子(poor particles)が高い飽和空間密度の領域に至ると高い空間密度を確保しようとする動きが起こり,雪面から跳躍層へと粒子の補給が促進され浸食が起こる.これらのプロセスには,跳躍層におけるせん断応力と層に含まれる粒子重量とのバランスが関与しているものと考えられ,両者の平衡が崩れた時に堆積あるいは浸食の現象が起こる.
  • 真木 雅之
    2003 年 65 巻 3 号 p. 219-229
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    1台のドップラーレーダによる降雪雲の鉛直断面の観測データを解析して降雪雲に伴う強風の形成過程を明らかにする.降雪雲が衰弱期に入ると降雪雲内では下降流が支配的となる.下降流は地表面に達すると水平方向へ流出する外出気流となる.外出気流はくさび状のレーダエコーとして観測される.外出気流は降雪雲内のいくつかの下降流により加速され,進行方向前部では強風域と突風が形成される.この強風域内では風によってまき上げられる地吹雪粒子と降雪粒子のために水平視程が極端に悪化する.下降流内は降雪粒子の昇華により非断熱的に冷却される.このため,外出気流の通過時には突風とともに2℃程度の気温の降下が観測される.降雪雲前部での外出気流が強風域を形成するのに対して,降雪雲後部への外出気流は一般風を弱める.合計34事例の降雪雲のうち,22事例がこのような風系であった.しかしながら,8事例については逆に降雪雲の進行方向後部で強風となっていた.これは降雪雲の発達段階の違いによるもので,発達期から最盛期の降雪雲の中では上昇流が支配的であり,降雪雲下層での流入気流は進行方向の後部で風を強め,逆に,前部では風を弱めるためである.
  • 苫米地 司, 細川 和彦, 土谷 学
    2003 年 65 巻 3 号 p. 231-239
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    多雪地域では,建築物の構造および建築計画の検討において建物屋根上の積雪を評価する場合,その積雪量および吹きだまり性状を把握することが重要である.通常,建築物およびその周辺における吹きだまり性状は吹雪風洞実験により検討されている.しかしながら,これらの相似性等が未だ明確にされておらず,建物屋根上の積雪を適切に評価することは難しいのが現状である.この様なことから,吹雪風洞実験における相似性を明確にするため,風速特性と吹きだまり性状の関係を明らかにする必要がある.
    本研究では,屋外実験により建物モデル上の吹きだまりと風速特性の関係を明確にすることを目的に,北海道札幌市において2段屋根建物試験体を設置し,吹きだまりの分布,風向,風速および気温について1999年~2001年の2冬期に渡り観測を行った.その結果,積雪深分布の形状とそれらが発生する風向,風速の関係を明らかにすることができた.
  • 杉浦 幸之助, 前野 紀一
    2003 年 65 巻 3 号 p. 241-247
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    吹雪における雪粒子の衝突実験が近年行われてきている.雪粒子の衝突・反発・射出過程であるスプラッシュ過程の理解のため,まずはじめに雪面近傍における雪粒子の速度・角度をその場観察する取り組みが行われた.複雑に振る舞う粒子の衝突を解析し,雪粒子の速度・角度の分布が求められ,考察が加えられた.その後,任意の速度と角度で衝突する雪粒子がどのような速度と角度で跳ね返るか,また何個の雪粒子を弾き出すかを示す,衝突時の粒子の力学挙動を記述する分布関数であるスプラッシュ関数という概念が導入された.そして鉛直反発係数,水平反発係数,射出粒子数に関するスプラッシュ関数が,実験的手法により定量的に求められた.吹雪は雪面と衝突・反発・射出を繰り返しながら発達するが,これらの実験的研究は,吹雪発達の条件を求めるために用いられるものである.
  • 根本 征樹, 西村 浩一
    2003 年 65 巻 3 号 p. 249-260
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    これまでに開発された吹雪の数値モデルのうち,特に現象の物理過程に着目したものを取り上げ,その基本的手法について解説をおこなう.従来の数値モデルは吹雪の跳躍・浮遊運動それぞれを別個に取り扱っているものが多いため,まず跳躍モデル,浮遊モデルそれぞれに分けて解説する.続いて,こうしたモデルに加えて,跳躍,浮遊という二つの運動形態を統合したモデルについても説明する.これらの吹雪モデルの有効性と内在する問題点を挙げるとともに,今後の物理モデルの指針,さらには吹雪の数値モデルが目指すべき方向について議論する.
  • 固体粒子浮遊流の統一見解
    福嶋 祐介
    2003 年 65 巻 3 号 p. 261-270
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    吹雪の空間密度式の多くは関連する開水路(河川)の土砂流れとの類推で求められてきたように思う.そこで本稿では,まず,河川における土砂浮遊流の知見をまとめ,次にそれに沿って吹雪流の濃度(空間密度)式についてまとめた.このようなまとめ方をすることで,土砂浮遊流と吹雪の関係,土砂浮遊流についての砂の連行係数と吹雪流における雪の連行係数に対して,客観的評価が可能となる.近年の研究の多くはより複雑な乱流モデルによる場合が多いが,これについても土砂浮遊流と吹雪流との見事な対照関係がある.このように一見異なった現象のように見える,土砂浮遊流と吹雪流との間に同じ式が適用可能である.もちろん吹雪の場合では降雪を伴い,土砂浮遊流とは境界条件の設定が異なる点もある.本稿では以上のことを考慮し,河川における土砂浮遊流と降雪を伴う吹雪の共通点と相違点を明確にする.
  • 防雪柵の技術史
    竹内 政夫
    2003 年 65 巻 3 号 p. 271-278
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    西欧では吹きだまりを水資源として使うために牧柵に似た構造の柵が立てられた.柵はやがて鉄道の開通に伴って防雪柵として使われるようになった.最初の防雪柵は吹きだまり防止のための吹きだめ柵であり,その形状や構造,設置位置や使用法は試行錯誤の経験を積み重ねて改良されていった.経験の繰り返しから柵の構造と防雪機能が研究されるようになっていった.1930年頃に吹き払い柵を開発するために行った切土の気流観測のレベルは現在にも通用するものがあった.こうした経験を積み上げて防雪柵の機能を代表する構造の三つの要素,柵高,空隙率,下部間隙(柵と地表との間の離れ)の理解がされ始めた頃までは経験工学の時代といえる.ローカルな経験は気象や地形・環境条件の異なる地域での使用法を誤らせ,技術者の退任は経験を埋没させ失敗を繰り返すこともあった.経験工学が防雪工学となるのは1950年代のロシア(ソ連時代を含める)からで,その技術はアメリカで完成度を高め日本の防雪工学に影響を与えることになる.日本の家屋敷を雪や寒さから守る「雪囲い」は,日本独特の吹き止め柵として現代に蘇った.
  • 佐藤 威
    2003 年 65 巻 3 号 p. 279-285
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    吹雪の風洞実験は,環境条件の設定や再現性,さまざまな模型を手軽に使用できる点などにおいて,野外観測に優っている.本稿では,風洞実験で使用される風洞,雪粒子,模型ならびに測定方法に関する現状や技術的な注意点を示した.また,風洞実験に特有な相似条件の考え方と現状も示した.次いで,吹雪の物理過程に関する実験,防雪柵・防雪林・道路・地形・建物を対象とした実験,屋根上の堆雪に関する実験について,最近の研究状況を紹介した.最後に,吹雪の風洞実験に関する今後の課題として,飛雪粒子の運動や吹雪の発達過程に関する実験を挙げるとともに,時間を含む相似条件の確立が急務であることを指摘した.
  • 三橋 博巳
    2003 年 65 巻 3 号 p. 287-295
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    近年,雪国では大スパンの建物や超高層建築物などが増えており,建物の屋根上雪荷重や吹きだまりによる積雪の評価が設計上重要である.そこで模型雪を用いた風洞実験(吹雪風洞実験)が,その性状や評価を行なう手段として用いられている.ここでは,吹雪風洞実験の概要と吹雪風洞実験について実際の建物への応用例を中心に紹介する.
  • 大槻 政哉, 畠山 拓治, 滝谷 克幸
    2003 年 65 巻 3 号 p. 297-302
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
  • 横山 宏太郎, 大野 宏之, 小南 靖弘, 井上 聡, 川方 俊和
    2003 年 65 巻 3 号 p. 303-316
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    冬期の降水量を正確に知るため,新潟県上越市において,国内で一般的に用いられている転倒ます式(ヒーター付き),温水式,溢水式の3種類の降水量計を対象とし,捕捉特性を評価するための長期比較観測を行った.方法は世界気象機関が推奨する方法に準じることにし,二重柵基準降水量計を一部改良して準器として用い,その値から風速の関数により真値を推定した.捕捉率は測定値/真値で表す.6冬期の観測結果を用いて,雪と雨に分けて降水事象単位の解析を行った.雪,雨いずれの場合も,捕捉率は機種によって異なり,高い方から順に溢水式>転倒ます式>温水式であった.機種による捕捉率の差は,その形状の違いが影響している.捕捉率は風速が大きくなるにつれて低下するが,その関係を簡単な式で表し,式に含まれる機種ごとの係数を示した.雪に対する捕捉率は,風速2ms-1においても溢水式では0.8,転倒ます式では0.7,温水式では0.6程度と計算され,雨に対する捕捉率は,雪に対するより大きいが,風速6ms-1においてはそれぞれ0.9,0.8,0.7程度と計算される.冬期の降水量は多くの場合に補正する必要があると考えられる.雪の降水強度が大きい地域では,加熱装置付きの測器を用いる必要がある.
  • 的場 澄人
    2003 年 65 巻 3 号 p. 317-321
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    2002年1月16日に北海道雨竜郡幌加内町字母子里にある北海道大学低温科学研究所融雪観測室・露場にて行われた「雪合宿」において,化学分析のための積雪採取方法とイオンクロマトグラフィによる積雪中の化学主成分の定量方法のクロスチェックが行われた.6方法での試料採取・処理を行った.その結果,積雪から試料瓶に直接採取する方法では深さ方向に均一にサンプリングできず,結果が他と異なることが分かった.その他の方法には大きな問題が見つからなかった.化学主成分の定量は,5機関にて行われた.K+は積雪中の濃度が低く,かつ定量限界が高いため分析値にばらつきが見られた.他の成分については,特徴的な測定値のばらつきが見られた研究機関もあったが,大きな問題は見つからなかった.
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