雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
66 巻, 4 号
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  • 第1報:バッチ式実験における氷粒子層と水の間の伝熱特性
    河田 剛毅, 山田 修一, 白樫 正高, 服部 賢
    2004 年 66 巻 4 号 p. 463-472
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    氷水輸送方式地域冷房システムが開発途上にある.このうち,冷熱輸送媒体として水以外に添加剤などを一切混ぜないシステムでは,用いられる氷の粒径が比較的大きくなるので,需要家側熱交換装置として,氷水直接接触式熱交換器と既存の隔壁式熱交換器を組み合わせる方式が最適と考えられる.本研究は,この直接接触式熱交換器の基本構造を決定することを目的として,鉛直円筒容器内の氷粒子層とそこを通過する水の間の伝熱特性をバッチ式実験によって調べた.用いた氷粒子は粒径10mm程度のチップアイスである.容器入口水温に対する出口水温の比は氷粒子層厚さにより決まり,入口水温,熱交換部内径,および流速にほとんど依存しない.この結果は,氷粒子層と水の間の熱伝達率が入口水温,熱交換部内径には影響されず,流速に比例することを示している.水の流れ方向については,下向きよりも上向きの方が熱交換性能は高く,かつ安定性もよい.この結果は,本研究で扱ったような粒径が比較的大きい氷粒子を用いる場合の氷水直接接触式熱交換器は鉛直円筒形で水の流れ方向を上向きにするのが構造の単純さ,省スペース性の観点のみならず,熱交換性能の観点でも最適であることを示している.
  • 大澤 範一, 福嶋 祐介
    2004 年 66 巻 4 号 p. 473-483
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    日本の殆どの山岳地帯においては,多くの集落や構造物が雪崩の被害にさらされている.このような被害を防止するためには煙型雪崩の流動機構の解明が不可欠である.雪崩の流動機構が明らかになれば,それをもとに災害防止地図が作成される.また,雪崩の被害にあわないような構造物を建設することも可能になる.
    煙型雪崩の流動特性は傾斜面上のサーマルの流動と類似の点が多い.このようなモデルを用い三次元の地形を考慮した新しい流動解析の手法を開発した.モデルの原点は福嶋(1986)の一次元モデルにある.今回の数値モデルでは数値地図を用い,これまでの雪崩の流下速度,最大厚さ,平均濃度,乱れ運動エネルギーに加えて雪崩の走路と流動幅を解析することができる.
  • (その2)リング荷重を受ける氷板のクリープ性状
    粉川 牧
    2004 年 66 巻 4 号 p. 485-493
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    湖氷板上にアイスドームを建設する場合,湖氷板は長期のリング荷重を受ける.このとき,湖氷板の力学的安全性が問題となる.同名論文(その1)で示された解析解に基づき,底面直径が20mのアイスドーム(総荷重100t)適用を想定した氷板のクリープ解析を行った.その建設日数を4日,氷板厚を100cm,氷の材料定数として(Jellinek and Brill)の実験値を用いて数値計算を実施したところ,ドーム完成時に生ずる氷板の最大曲げ応力は弾性解の約40%程度に低められ,その値は1.74kg/cm2と小さく,さらに完成後の荷重一定状態において応力は減少し続けるなど,氷板は強度的に十分安全であることが予測された.一方,変位は完成直前に板厚の約1/10に達しFloodingが生ずるものの,その水位上昇速度は2~3cm/日と自然寒気による凍結が可能で,緩慢なFloodingは逆に氷板の力学的性能を高めることが期待された.本解析結果より,湖氷板上において20mアイスドームの建設期間を含めた2~3ヶ月間の実施適用は可能と思われる.
  • 福嶋 祐介, 木本 二郎, 原 正栄, 小林 敏夫, 酒井 龍市, 石丸 民之永, 八戸 剛志, 石川 有貴子
    2004 年 66 巻 4 号 p. 495-502
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    長岡市よりの委託を受けて,平成14年12月より,平成16年3月までの2冬季間にわたり地下水節水型の消雪パイプシステムの実証試験を行なった.本報告は,主として2冬季目の実証試験の結果について述べる.この実証試験は,長岡市道に敷設された消雪パイプを用いて行なっている.2冬季目の測定項目は1年目と変わらない.実証試験の前半では1年目と同様の試験を行い,主として本システムが真に節水型,省エネルギー型のシステムとなっているかの確認を行なった.実証試験の後半では,流量計の代わりに安価な圧力センサーを用いて制御を行なった.同時に在来型の消雪パイプに,新たに開発した地下水節水型消雪パイプシステム実用機を設置して,その有効性も検討した.この間,ADSLを用いた遠隔測定システムは一年目と同様,有効に機能することを確認した.
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