雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
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解説
  • 松田 宏, 本間 信一
    2024 年 86 巻 1 号 p. 3-16
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/09
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    高橋(1960)の見通し角は,「雪崩到達点から発生点を見通す仰角が表層雪崩は18°,全層雪崩は24°未満の範囲には雪崩が到達しない」という簡単な概念のため,これまで雪崩対策の実用上,多くの場面で利用されてきた.高橋(1960)は雪崩の到達限界の目安を示しただけで,どのような雪崩に適用できるかまでは示していないにもかかわらず,現状では斜面規模に関係なく,この経験則を適用して雪崩到達範囲を決めることが多い.しかし,高橋(1960)以降の研究事例では,表層雪崩で18°未満,全層雪崩で24°未満の見通し角がしばしば計測されていることから,高橋(1960)の見通し角については詳しく再検討する必要がある.本稿では,高橋(1960)の見通し角がこの60年余りの間に雪崩対策の実務に応用されるに至った経緯や,見通し角がどのように説明されてきたかを再確認した.次に,見通し角は雪崩量に依存することを物理モデルによって示した.また,見通し角を予測する既存の研究例を紹介し,現段階において実用的と考えられる,見通し角の確率分布から雪崩到達危険度を推定する手法を提案した.

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