サービソロジー
Online ISSN : 2423-916X
Print ISSN : 2188-5362
6 巻, 4 号
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巻頭言
特集:サービスを測る
論文Abstract
  • Ho Bach Q., Murae Yuna, Hara Tatsunori, Okada Yukihiko
    2020 年 6 巻 4 号 p. 36
    発行日: 2020/01/28
    公開日: 2020/01/28
    ジャーナル オープンアクセス

    サービスの達成には,消費者の価値共創への参加が必須である.宅配サービスのように,消費者が荷物の受け手(受容者)と送り手(供給者)という異なる複数の役割を担うサービスでは,それぞれの役割における価値共創行動は互いに影響を与え得る.消費者の価値共創行動の理解には,こうした単一アクターにおける役割間の影響について分析することが必要であるにも関わらず,既存研究ではこうした役割の差異はほとんど無視されてきた.したがって,本研究の目的は宅配サービスにおける供給者の経験が受容者としての価値共創行動に与える影響を明らかにすることである.

    オンラインサーベイを通じて,月に1回以上荷物を受け取る宅配サービスの消費者30,000名からの回答を得た.このデータを用いて,共分散構造分析によって仮説モデルを検証した.分析結果から,供給者としての経験が多い程,受容者の時における顧客市民行動(援助行動などの付加価値を与える行動)は顧客参加行動(サービスの達成に必須な行動)を促進することがわかった.一方で,受容者としての経験しか持たない消費者の顧客市民行動は顧客参加行動に結び付かないことを明らかにした.この現象を本研究では『受容者の近視眼(Recipient Myopia)』と呼ぶ.消費者は多様な役割を経験することでサービスシステムに関するメタ知識を獲得し,その結果として顧客参加行動に繋がる顧客市民行動がどのようなものであるかを理解できるようになる.逆に,単一の役割しか経験していない消費者は,援助行動を取ろうと思ってもただのお節介になり効果的な援助ができないことが示唆された.

    和文概要:ホー バック(東京大学)

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