環境科学会誌
Online ISSN : 1884-5029
Print ISSN : 0915-0048
ISSN-L : 0915-0048
12 巻, 2 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 森下 英治, 山本 佳世子
    1999 年 12 巻 2 号 p. 145-157
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     わが国の都市地域では,緑地不足が著しいことが従来から指摘されている。これは都市の防災性にも関連する重要な問題となっており,都市における居住環境の安全性を確保する必要も再認識されるようになった。このため,この震災後は,緑地を基盤とした防災都市づくりの必要性が強く主張されている。 そこで,本研究では,緑地不足が著しい東京都を研究対象とし,地域の防災性に着目した公共緑地整備の方向性について提言することを目的とする。そのために,本研究では,基礎データをもとに人口データと緑地データを作成し,これをもとに地区レベルと広域レベルの2つの空間スケールから公共緑地の整備状況を評価した。さらに,この評価結果を踏まえ,今後の緑地整備の方向性について提言した。本研究では,基礎データの加工及び解析に地理情報システム(GIS)を利用した。 本研究の結果から,以下のような結論を得た。 (1)東京都では,今後も地区レベルの身近な緑地と広域レベルの大規模緑地のバランスのとれた整備を行うことが必要であり,特に23区ではこのような必要性が強い。 (2)今後の緑地整備では地域の夜間人口や昼間人口への対応が重要であり,特に23区及び多摩地区の中心部,東部,北部では昼間人口に対応した緑地計画が必要である。
  • 早瀬 光司, 橋本 あかね, 香口 哲行, 西山 文隆
    1999 年 12 巻 2 号 p. 159-170
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     現地水田におけるプレチラクロールとベンチオカーブの収支動態を総合的に解明し,考察するための研究を行った。広島県内で稲作を行っている営農形態の異なる3軒の稲作農家(第一種兼業A,第二種兼業B,無農薬専業C)において1996年4月から10月の間,水田,用水,排水の農薬分析,水質測定(用水源,及び排水排出河川も含む)及び調査票による農薬・肥料の使用量,作業時間,収穫量,経済収支調査等を行った。 除草剤に含まれるプレチラクロールとベンチオカーブを農薬成分として選び,その消長をガスクロマトグラフを用いて調べた。田面水中のプレチラクロールが最高濃度を示したのは,農家Aで散布後1-2日目に104-218μg/l,農家Bで1日目に110-465μg/lであった。ベンチオカーブが最高濃度を示したのは,農家Bで散布後5-8日目に5.02-75 .4μg/1であった。検出された期間はプレチラクロールが農家Aで散布直後から22-28日まで,農家Bで11-24日まで,ベンチオカーブでは農家Bで31日までであった。排水によるプレチラクロールの流出量,流出率はそれぞれ農家Aの二つの田で1190mg,1.17%,及び,1120mg,0.82%であった。農家Cの無農薬水田から農薬のベンチオカーブと思われるものが検出され,周辺の慣行栽培水田からの影響(汚染)が認められた。 農家A,Bとも基準量に対する農薬の使用量は,除草剤,殺虫殺菌剤ともほぼ適正であり,肥料の標準的な使用量に対する実際の使用量では元肥より追肥が多かった。農家A,Bの単位面積当りの作業時間では,施肥を除くほとんどの項目で農家Aの方が大きかった。農家Cの作業時間は農家A,Bと比べかなり大きかった。各農家の経費の特徴は,農家Aは肥料,特に土壌改良材の占める割合が大きく,農家Bは農薬の占める割合が大きく,農家Cはほとんどがアイガモの費用であった。各農家の収入/支出の比は,農家A:8.6,農家B:9.5,農家C:31となり,農家Cの作業時間の大きい分は収入によって補償されていた。
  • 澤田 信一, 古川 洋, 佐藤 大輔
    1999 年 12 巻 2 号 p. 171-183
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     岩木川流域への人間活動の影響を水収支の面から定量的に検討した。岩木川の流域は2554km2で,高度200m以上の山地が44%を占める。土地利用は森林が57%,耕地が20%,その87%(438km2)が水田である。この流域の1990~1994年の5年間の平均年降水量は3704×106m3,年蒸発散量は1403×106m3であった。降水量と蒸発散量との差として求めた年流出量は2301×106m3であった。この流域での,年間の水利用は農業用取水が最大で736×106m3,生活用水は46×106m3,工業用水は14×106m3であった。これらの総水利用量の流出量に占める割合は35%であった。春には降水量が少なく,夏から秋にかけて多いこの流域では,蒸発散量が増加する5月から6月に流出量は大きく減少しほぼゼロになるが,その後は12月まで増加する。一方,低い山地の融雪が早いことの影響を受けた実際の河川流量は3月から4月に急激に増加し,反対に5月から6月には大きく減少し,その後は12月まで増加する。農業用取水は4月に始まり,5月に最大量に達し,その後は8月まで僅かに低下し,9月に大きく減少した。農業用取水量が最も多い5月と6月の流出量はゼロに近い値であったが,7月と8月は取水量とほぼ一致した。一方,実際の河川流量は5月には取水量とほぼ一致したが,6月には取水量の1/2に減少し,7月と8月は再び増加し取水量とほぼ一致した。以上の結果は,河川流量への農業用水の反復利用の影響がある可能性を示す。同時に,水田に施された肥料や農薬の残留物で排水に負荷される物質の濃度が高まり,しかも5~8月は岩木川水系に排水が還元されても殆ど希釈されないことを示す。加えて,この時期の大量の農業用取水は岩木川の上流から中流部の流量を大きく減少させ,その為に水位も大きく低下し,この区間の自然環境を悪化させ景観を損ねている。
  • 松本 奈穂子
    1999 年 12 巻 2 号 p. 185-196
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
     アメリカ合衆国においては,大気清浄法(Clean Air Act)に基づき,6つの大気汚染物質の環境基準が設定されている。オゾンの環境基準(1時間値0.12ppm,1年に1回の超過は許容)は1995年現在,多くの都市において未達成であった。アメリカ合衆国環境保護庁(U. S. Environmental Protection Agency, U. S. EPA)は環境基準の1時間値から8時間値への変更を検討し,1997年に変更を決定した。本論文は,環境基準を8時間値に変更し達成した場合および旧基準を維持達成した場合の2007年における健康被害減少の経済的便益を,1990年現在の規制レベルを強化しないまま2007年まで未達成地域を残した場合と比較して推計し,それらの便益を比べること,さらに,便益の推計に当たって用いられるWTP値推計手法の違い及び用いる科学的データの違いが便益推計値に与える影響について分析することを目的とする。なお,対象地域はアメリカ東部の5つの都市(ニューヨーク,ワシントンDC,シカゴ,セントルイス,フィラデルフィア)に限定した。対象エンドポイントを咳とPDI(深呼吸に伴う痛み)とし,各エンドポイントについての経済的便益を,2007年1年間で症状の減少する日数の推計値と1日あたりの症状減少に対するWTPの推計値にもとついて推計した。その結果,便益の推計値には人口と1990年現在のオゾン濃度の違いにしたがって地域差がみられること,便益推計はWTP値推計手法の違い及び用いる症状発現日数データの違いによって大きな幅が見られ,特に症状発現日数データの選択がその幅に大きな影響を与えること,新基準へ移行する場合には旧基準を維持するよりも大きな便益推計が得られることがわかった。また,この便益分析に係る不確定要素についても論じ,便益評価手法の向上と不確定性についての研究の必要性を提示した。
  • 孫 徳華, 伊藤 一帆, 鈴木 嘉彦
    1999 年 12 巻 2 号 p. 197-210
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     地球温暖化問題の深刻化とCOP3における温室効果ガス削減という課題に直面する現在,私たちの消費行動がCO2排出にどのように関わっているのかを正確に知ることは最重要課題の一つといえる。消費行動に伴うCO2排出量の産業連関表を用いた推定方法としては,2つの方式が知られている。本文ではこれら2つの方式を含め,産業連関表を利用した推定方式の推定精度について考察している。
  • 土坂 享成, 今井 邦雄, 妹尾 啓史, 田中 晶善, 小畑 仁
    1999 年 12 巻 2 号 p. 211-216
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     大抵の植物にとって,過剰の重金属は有害である。しかし,中には重金属が高濃度に存在するところでも正常に生育できる植物が存在する。このような植物は重金属耐性植物と呼ばれているが,最近では,これを用いた環境浄化の技術開発が注目されている。また,この重金属耐性植物の耐性機構についての研究も行われるようになり,その中の一つとして(γ-EC)nGによる解毒が注目を集めている。本研究では,水稲を供試植物として,(γ-EC)nGを合成していると考えられている酵素について検討を行った。その結果,この酵素の至適条件は,pH8.5,反応時間2時間,GSH濃度は10mMが適当であることが認められた。また,重金属の添加により(γ-EC)nG合成活性の増大が認められた。更に,本酵素がカルボキシペプチダーゼ(CPase)であるとの仮説をたて,CPaseの特異的阻害剤が(γ-EC)nGの生成に及ぼす影響を検討した結果,(γ-EC)nG合成活性の減少が認められた。このことから,水稲根の(γ-EC)nG合成酵素がCPaseである可能性が示唆された。
  • 佐竹 研一
    1999 年 12 巻 2 号 p. 217-225
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 畠山 史郎
    1999 年 12 巻 2 号 p. 227-232
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 井川 学
    1999 年 12 巻 2 号 p. 233-240
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 丸田 恵美子, 志摩 克, 堀江 勝年, 青木 正敏, 土器屋 由紀子, 伊豆田 猛, 戸塚 績, 横井 洋太, 坂田 剛
    1999 年 12 巻 2 号 p. 241-250
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 新藤 純子
    1999 年 12 巻 2 号 p. 251-258
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • 生田 和正, 天野 勝文, 北村 章二
    1999 年 12 巻 2 号 p. 259-264
    発行日: 1999/05/31
    公開日: 2012/02/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top