環境科学会誌
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12 巻, 4 号
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  • 萩原 良巳, 萩原 清子, 高橋 邦夫
    1999 年 12 巻 4 号 p. 367-382
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     本稿では親水型水利用問題を人間の五感と水の距離を最小化するという新メタ論理で捉え,特に都市域における水辺環境創出計画の方法論に関する考察を行った。新メタ論理による水辺計画は,人々がジオ・エコ・ソシオの3相からなる環境を意識しながら川と遊ぶという行動を通して地域の価値としての風景や誇りとしての文化(価値の体系)を創造することである。水辺計画では地域住民が主役であり,地域住民にとって日常としてのアメニティ空間であり非日常としての防災空間でもある水辺空間を創造することになる。したがって,住民参加型の計画論が必要となる。新メタ論理の下での住民参加型水辺計画は,まず,水辺環境のジオ・エコ・ソシオの調査を行うことから始まる。これらの調査の結果を水辺環境総合カルテとして調査地区毎に作成した。つぎに,地域住民,特にこどもの水辺に対する「認識と欲求」を明らかにし,理化学指標,生物指標,流況指数などについて住民の好感率50%以上で表される水辺計画のデザイン・クライテリアを作成した。さらに,(1)水辺の魅力が増加するほど地域住民の「好感率」は増加する,(2)水辺の魅力が増加するほど水辺への心理的距離は物理的距離に対して短くなり,水辺からの誘致範囲は拡大する,という仮説を立て,仮説の検証を通して,水辺のグランド・デザインの作成を行った。最後に,以上の過程を経た水辺計画は経済的な評価も行うことが望ましい。そこで,水辺環境の経済的評価の考え方を示しながら,経済的評価は水辺環境創出計画の代替案に対してのみ意味のあることを示した。
  • 石田 葉月, 盛岡 通
    1999 年 12 巻 4 号 p. 383-392
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物のうち40%以上もの容積を占めている容器包装材のリサイクルを推進するため,「容器包装に係わる分別収集及び最商品化の促進等に関する法律(通称容器包装リサイクル法)が制定されたが,リサイクル・コストの大きな部分を占める分別収集コストは依然として自治体が負担しなければならない状況下にある。そのため東京都は,容器包装材を販売する事業者が店頭で回収し再資源化を図る,という「事業者自己回収」システムの確立を進めている。
    本論文では,自治体回収システム及び事業者自己回収システムの社会的効率性について,PETボトルを事例として需要と供給の部分均衡モデルを用い試算したのち比較検討を行った。その結果,事業者自己回収システムにおいては,一人当たり年間785円もの厚生損失が生じ,自治体回収と比較して700円ほど社会的に非効率であることがわかった。
    さらに,取引コスト理論の概念を導入し,両リサイクルシステムについての長期的な効率性を検討した。リサイクル費用を製品価格に転嫁する際の取引コストは,相対的に自治体回収システムの方が大きいことを示し,故に長期的には事業者自己回収システムにおいて厚生損失が小さい均衡解に向かう可能性が高いと結論した。
  • 土坂 享成, 木村 哲哉, 今井 邦雄, 妹尾 啓史, 田中 晶善, 小畑 仁
    1999 年 12 巻 4 号 p. 393-398
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     前報において,カドミウム解毒に重要な役割を果たすと考えられている(γ-EC)nG合成酵素の性質について,水稲根を用いて検討したことを報告し,水稲根中で(γ-EC)nGを合成している酵素の少なくとも一部がカルボキシペプチダーゼである可能性を示唆した。これを踏まえ,本研究では各種のカルボキシペプチダーゼに(γ-EC)nGの合成能力があるかを検討した。更に,イネ由来のカルボキシペプチダーゼ遺伝子を発現ベクターに組み込み,これを大腸菌に導入してカルボキシペプチダーゼ遺伝子を発現させ,それにより(γ-EC)nG合成能力が増大するかを検討した。 その結果,全てのカルボキシペプチダーゼ標品において(γ-EC)nGの合成が認められ,その至適pHはカルボキシペプチダーゼの分解活性のそれとほぼ同じであった。また,その合成活性はカルボキシペプチダーゼの特異的阻害剤により抑制されることが認められた。比較のために行ったアミノペプチダーゼ標品では(γ-EC)nGの合成は認められなかった。一方,カルボキシペプチダーゼ遺伝子を導入した大腸菌の抽出液における(γ-EC)nG合成活性が,導入していない方よりも増大したことが認められた。これらのことから,カルボキシペプチダーゼが(γ-EC)nGを合成している酵素の一つである可能性が更に強く示唆された。
  • ―六甲山のスギ樹冠における測定―
    小林 橲樹, 中川 吉弘, 玉置 元則, 平木 隆年, 藍川 昌秀, 正賀 充
    1999 年 12 巻 4 号 p. 399-411
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     六甲山の670m及び800m地点において1年以上にわたって霧水採集とスギ樹冠下での樹冠通過雨の測定を行ない,次のことを明らかにした。 六甲山における霧の年間発生頻度は11.5~15.5%,霧水量(Liquid Water Content)の年平均値は0.059g/m3であった。霧の発生は相対湿度が80%を越えると急に高まり,86%では発生頻度はおよそ70%に達した。六甲山の霧水の化学成分濃度(1997年度平均)はpH3.81,SO42-11.2μg/ml,NO3-7.7μg/ml,NH4+3.1,ug/mlで,pHは関東地方の山岳地とほぼ同じレベルであった。樹冠通過雨測定から算出した霧水沈着量と霧水採集量との間に有意な相関関係が認められ,樹冠通過雨測定によって樹冠への霧水沈着量を定量的に測定できることが示された。 標高800mの尾根部のスギ樹冠には,年間で1420~2860mmの霧水が沈着しており,これは年降雨量の0.89~1.79倍にあたる。霧水沈着量は林分の地形条件や調査木の立地条件により異なり,谷斜面に比べ尾根部で,また林内に比べ林縁部やギャップに面したところでより大きな値を示した。霧水によってスギ樹冠にもたらされる酸性沈着量は年間でSO42-204kg/ha,NO3-153kg/ha,H+2.5kg/ha,NH4+58kg/haであり,全湿性沈着量の85~92%の酸性沈着が霧水によってもたらされている。六甲山において測定されたH+,SO42-,NO3-の霧水沈着量は,いずれも北米東部の山岳地帯の森林で報告されている最高値と比べて,同程度かより大きな値であった。スギ樹冠に対するSO42-の乾性沈着量は全沈着量の22%,霧水沈着量の33%であった。暖候期について霧発生頻度,霧水量及び風速との重回帰分析を行なったところ,霧水沈着量と3変数との間に有意な相関関係が認められた。 以上のことは,山地~ 山岳地の尾根部にある針葉樹(林)には霧水により降雨を上回る水分補給や酸性沈着がなされていることを示唆しており,山地の森林生態系における物質収支を検討するにあたっては,霧水沈着量の見積りが不可欠であることを示している。 六甲山の地形・立地環境は決して特異なものではないことから,国内各地にある山地の森林地帯において同様な現象がみられるものと推測される。山地~山岳地帯における樹冠通過雨の測定を含む,酸性沈着の総合的なモニタリング調査が必要である。
  • バイオレメディエーション技術の現状と今後の課題
    矢木 修身, 岩崎 一弘
    1999 年 12 巻 4 号 p. 413-420
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 環境汚染を食べる植物によるファイトレメディエーション
    森川 弘道, 高橋 美佐, 河村 義史
    1999 年 12 巻 4 号 p. 421-432
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • リン資源の循環再利用のためのバイオテクノロジー
    大竹 久夫, 黒田 章夫, 加藤 純一, 池田 宰, 滝口 昇
    1999 年 12 巻 4 号 p. 433-441
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 微生物による流出油汚染の浄化
    珠坪 一晃, 原山 重明
    1999 年 12 巻 4 号 p. 442-448
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • 微生物による有機塩素化合物の分解
    古川 謙介, 陶山 明子, 李 泰鎬
    1999 年 12 巻 4 号 p. 449-461
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • 微生物によるダイオキシン類の分解
    近藤 隆一郎
    1999 年 12 巻 4 号 p. 462-471
    発行日: 1999/11/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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