環境科学会誌
Online ISSN : 1884-5029
Print ISSN : 0915-0048
ISSN-L : 0915-0048
13 巻, 2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 中野 加都子, 三浦 浩之, 和田 安彦
    2000 年 13 巻 2 号 p. 141-153
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     製品開発では環境調和型が重要なキーワードとなっており,環境調和型製品の開発・商品化が行われているが,消費者は環境調和性だけでなく,使いやすさ,機能,デザイン等を総合的に評価して,製品選択をしている。したがって,製品開発では,製品の環境調和性と性能の両方を高次元でバランスさせることが重要である。著者らはメーカーが新製品開発において製品の環境調和性と性能をうまくバランスさせるために,製品の環境調和性と人々の平均的な商品価値評価を総合評価する手法を提案した。本研究では,事例としてこの総合評価手法を自動車用ホイールに適用し,購買者の商品価値評価が,性能と環境への意識によってどのように変化するのかを検討した。この結果,経済性重視者と自動車愛好家では商品価値の高い製品が異なることを数量的に表現できた。そして,総合評価を用いて環境調和性と性能の両方を高次元で両立させた製品としていくための課題と目標レベルを,スチールホイール,アルミホイールそれぞれについて示した。
  • 姜 克〓, 南 惣一郎, 森田 恒幸
    2000 年 13 巻 2 号 p. 155-166
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    温室効果ガス排出削減政策への発展途上国の参加が,気候変動枠組条約第3回締約国会議(京都会議)以降さかんに議論されてきた。発展途上国では,国内汚染対策に高い優先順位が与えられており,気候変動防止政策の導入に対するインセンティブはほとんどない。しかしながら,気候変動防止政策は,国内汚染の対策にも効果のあることが期待される。 本研究では,中国の典型的な工業都市である大連を対象に,2つの計算機シミュレーションモデルを用いて気候変動防止政策の実施による国内汚染対策への寄与を評価する。ここで用いた2つのモデルは,気候変動防止対策の導入によるエネルギー消費と二酸化炭素排出量,二酸化硫黄排出量,GDPロスを予測するために用いられたものである。シミュレーションの結果,気候変動防止政策は,二酸化炭素と二酸化硫黄の両方を削減することが可能であることを明らかにした。また,技術進歩はこうした政策の達成に重要な役割を担うことも示した。技術進歩の促進を含めた総合的な政策が適用されると,二酸化炭素排出量の削減に伴うGDPロスは減少し,逆にGDPのゲインが見られるようにもなる。
  • 肥田 野登, 加藤 尊秋
    2000 年 13 巻 2 号 p. 167-180
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     CVM (Contingent Valuation Method,仮想市場法や仮想評価法と訳される)は,環境の価値を測定するための一手法である。Arrow et al.(1993)では,CVMの精度向上のために面接法の利用が推奨されたが,多大な調査費用が課題である。これに代わる手法として郵送法があるが,調査過程においてどのような要因がどの程度の誤差を生じるのか十分に明らかではない。そこで本研究は,面接法および郵送法それぞれの支払意志額(以下WTP)への影響を,一連の調査過程との関連において示すことを目的とした。本研究では,北海道十勝地方札内川の環境保全に関して,面接法および郵送法によるCVM調査を実施した。さらに,自由回答式と二段階二肢選択式の調査票をそれぞれに用い,札内川流域居住世帯から無作為抽出された4つの被験者群に割り当てた。 結果は以下のとおりであった。第一に自由回答式の場合,面接法と郵送法の間でWTP平均値および中央値ともに有意な差が生じなかった。また,平均値の信頼区間の広がりがほぼ同じであることから,統計的な観点からの両手法の信頼性は同等と思われた。第二に,二段階二肢選択式においてTurnbu11法による生存分析を行った結果,面接法と郵送法の平均値,またそれぞれの累積分布に有意差がみられなかった。ただし,郵送法におけるTurnbull平均値の信頼区間は広く,統計的な観点から信頼性に劣ることが示唆された。第三に,回答者の個人属性,調査票の内容伝達について比較を行った結果,自由回答式では面接法と郵送法の優劣がつけがたかった。一方,二段階二肢選択式では調査票の内容伝達の観点で面接法が優れていた。
  • ―環境にやさしい紙の購入行動を例として―
    田口 誠, 坂上 雅治
    2000 年 13 巻 2 号 p. 181-192
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
     本稿では,コンジョイント分析を用いて消費者のグリーン購入の意思についての分析を行った。具体的には,環境にやさしいとされる非木材紙が開発・販売された場合を例にとり,通常の木材原料の紙と比較した非木材紙に対するMWTP (Marginal Willingness To Pay)ならびに現状の市場シェアに与える影響についての調査(推計)を行った。これにより,消費者は約15-16円(製品価格の約5-8%)を環境にやさしい製品に対して支払う意思があり,非木材紙にすれば製品シェアを約8%上昇させるという結果を得た。近年の環境意識の高まりとともに,潜在的なグリーンコンシューマーが存在していることが分かった。 また,理論的一貫性のないデータを除外したサブサンプルにより同様の推計を行ったところ,MWTPが上述の約15~16円から約11円(製品価格の4%-6%)に減少した。このことから,アンケートの回答中には故意に調査者が望む回答をするという調査文脈バイアスを持つ回答が存在することが分かった。よってコンジョイント分析を行う時には,回答者の理論的一貫性に関するテストを行い,理論的一貫性を持つデータのみによる分析を行うことが望ましいと言える。
  • 森 保文, 寺園 淳, 酒井 美里, 乙間 末広
    2000 年 13 巻 2 号 p. 193-204
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     環境負荷を減らす上で,ISO14001のような環境マネジメントシステムに関する関心が高まっている。ISO14001の審査登録が企業の環境負荷制御に与える影響を調査するために,アンケート調査を実施した。大部分の企業はISO14001の審査登録にあたって新たに方針や組織を作成したが,環境行動はあまり変えていなかった。PRTRとLCAを導入している企業は少なかった。経営への影響が,環境保全活動への投資を制限する傾向が見られた。多くの企業が環境マネジメントシステムに関する情報を一般にではなく社内にのみ公開していた。ISO14001は環境行動に正の連関を持ち,環境負荷管理と先進的制度に負の連関を持っていた。先進的制度は環境負荷管理と正の連関にあった。環境保全コストの公開は先進的制度と正の連関にあり,内部監査結果の公開とも正の連関にあった。このように現時点では,方針レベルであるISO14001は,実行レベルである環境負荷管理を変化させるには至っていなかった。環境保全コストと内部監査結果の公開が環境負荷管理を前進させる可能性が示された。
  • メゴ ピナンディト, イマム ロザナント, イイ ヒダヤ, スゴンド サントソ, シティ アシアティ, アンオンド プラノウォ, 松井 一郎 ...
    2000 年 13 巻 2 号 p. 205-216
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
     エアロゾルの高度分布 海岸,都心部,内陸部の3地点に設置したミー散乱ライダーによりインドネシア,ジャカルタのエアロゾルの高度分布を観測した。1997年の9月から10月の乾季の1週間,大気境界層構造を観測した。ラジオゾンデによる観測をジャカルタにおいて同じ期間に実施した。この期間に海陸風循環を伴う大気境界層構造の日変化が明瞭に捉えられた。大気境界層より上空の高度2から5kmにおいてもエアロゾル層が観測された。流跡線解析の結果,このエアロゾル層はカリマンタンの森林火災によるものと考えられる。一方,雨季における大気境界層構造の観測を1997年12月に実施した。観測されたエアロゾル分布構造は乾季のものと異なり明瞭な日変化を示さず,境界層の上部に雲が生成される例が多く見られた。乾季の境界層の高度が最大で約2.5kmであるのに対して,雨季では3-4kmに達する場合も見られた。
  • 一ノ瀬 俊明, 大坪 国順
    2000 年 13 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    松村・中村(1999)等多くの論文で仮定されている土地利用構造の時間的安定性について,その検証を目的として,1970年代から1990年代にかけてのアジア諸国における土地利用変化の特徴について考察した。ここでは土地利用を目的変数,社会・経済・自然等の各種因子を説明変数にとり,両者の統計学的な関係の記述を試みた。 人口密度と農地率との関係によれば,インド等においては農地率は人口密度にほぼ比例して上昇しており,1970年以降その関係にはあまり変化が見られない。一方台湾では,1970年時点でインドに類似の関係が見られるものの,時間の経過とともに人口密度の高い地域における農地率が低下してくる。これら2つの地域の間では経済的発展のステージが異なり,増加する人口を養うためその増加に対応して農地を増やす国と,食糧生産を他の地域に依存し,農地を減らして農業以外の産業にシフトする国という相違があるように思われる。 台湾の林地率・農地率の例を見る限り,ドライビングフォースとしての人口密度はそのレンジによって+にも-にも働きうるものであり,しかもその様子は時代とともに変化する。アジア地域における土地利用変化モデルの構築に当たり,このような土地利用構造の時間的安定性に対しては細心の注意が必要である。
  • 渡辺 彰, 梶原 雅子, 吉田 重方, 木村 眞人
    2000 年 13 巻 2 号 p. 223-227
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
     大気中メタン濃度の上昇は地球温暖化の原因となっている。水田はメタンの主要な発生源のひとつである。本研究では,水稲の移植時の株あたり本数(1,3,5,7)および株間距離(15×15cm,15×30cm,30×30cm)が水田からのメタン発生に与える影響を調べた。株あたり本数の異なる処理区からの一作期間の総メタン発生量は3本立区が他の処理区よりも有意に大きく,7本立区で最も小さかった。また,株間距離を変えた場合には30×30cm区からのメタン発生量が最も大きく,15×15cm区で最も小さかった。分げつ数や植物バイオマスの違いからは,処理区間のメタン発生量の違いを説明することはできなかった。処理区間の籾収量の差は小さく,株あたりの本数を多くするあるいは株間距離を小さくすることで収量を減らさずにメタン発生量を削減できる可能性を示した。
  • Bathini MADHUSREE, 河野 公栄
    2000 年 13 巻 2 号 p. 229-234
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    開発途上国において,未処理の産業排水が農地の灌漑水として用いられ,農作物に悪影響を与える例が見られる。そこでインドの蒸留酒製造所の廃水に関して,農作物[カウピー(Vigna sinensis L)とラッカセイ(AYachis hypogaea L)]に与える影響と処理に関する情報を得るために本研究を行った。その結果,廃水原液を用いた場合,植物のカタラーゼ,ペルオキシダーゼ,硝酸還元酵素,亜硝酸還元酵素などの活性が低下した。作物の成長に関する形態学的パラメーターについても検討した。蒸留酒製造所の未処理廃水はBOD値が大きく,多くの懸濁粒子を含み,溶存酸素はほとんど見られなかった。希釈廃水による試験の結果,25%に希釈した廃水では,顕著な影響は見られなかった。
  • 安部 郁夫, 川崎 直人, 中村 武夫, 近藤 武志, 棚田 成紀
    2000 年 13 巻 2 号 p. 235-238
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    有機性副産物のリサイクルは,精力的に行われている。本研究では,有機性副産物であるコーヒー豆のかす,もみがら,焼酎蒸留残渣を異なる温度で炭化し,製造した炭素を合成ゴムの補強材として用いた。得られた合成ゴムのムーニー粘度,最適加硫時間,引張強さ,引裂強さ,圧縮永久ひずみ率,永久伸びを測定した。その結果,有機性副産物由来炭素の添加により製造した合成ゴムの強度は,カーボンブラックの添加により製造した合成ゴムに比べ,若干強度が低下した。しかし,有機性副産物由来炭素は,合成ゴムの補強材として利用できることが明らかになった。 
  • 田辺 信介
    2000 年 13 巻 2 号 p. 239-247
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • 河川,沿岸生態系と魚
    有薗 幸司
    2000 年 13 巻 2 号 p. 248-254
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
  • 奇形ガエルの原因究明
    門上 希和夫
    2000 年 13 巻 2 号 p. 255-262
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • 海産巻貝類は回復するか
    堀口 敏宏
    2000 年 13 巻 2 号 p. 263-270
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
  • 畠山 成久, 菅谷 芳雄, 春日 清一
    2000 年 13 巻 2 号 p. 271-276
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
feedback
Top