中国では,1997年から「空気レベルの週間報告」の形で大気汚染の状況を一般向けに公表した際,空気汚染指数(API指数)という環境指標を採用した。この指数は中国の大気環境基準及び人の健康に及ぼす影響によって,汚染物質の濃度から換算される。北部都市ではTSP(総浮遊粒子状物質)汚染が目立ち,西南地域と華北地域東部ではSO
2による汚染がひどい。一方,北京,上海と広州のような大都市では,自動車排出ガスによるNO
x汚染が大気環境悪化の主要原因物質であることが判明した。API指数を用いて解析した結果から,北京市における主要汚染物はTSP,NO
xであり,暖房使用期の汚染は非暖房使用期より著しいこともわかった。いままで,汚染データの情報開示を行わなかった中国にとっては,API指数の公表により,大気汚染の現状がより市民にわかりやすくなった。このことにより,大気汚染の抑制に対する社会的な関心が高まり,政府の大気環境管理の効力がさらに増すことになろう。
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