環境科学会誌
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15 巻, 5 号
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  • ―Edmonds-Reillyモデルの改良による評価―
    今井 博之
    2002 年 15 巻 5 号 p. 331-340
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     地球温暖化の最大の原因物質は化石燃料の消費にともなって発生する二酸化炭素である。その排出量を規定する人口学的要因としては地域別の人口規模が注目されてきたが, 今後数十年間に開発途上国で急激に進行すると予測される都市化もまた化石燃料の消費に大きな影響をあたえると考えられる。そこで本研究では,代表的な二酸化炭素排出量予測モデルであるEdmonds-Reillyモデルを対象にして,エネルギー需要の部分に人口シナリオだけでなく開発途上国についての都市化シナリオをも組みこむような改良を施した。農業から工業・サービス業へと産業構造が変化していく経済発展と都市化とが結びついていることから,都市人口割合から経済活動人口に占める非農業部門の割合が決定され,さらに農業・非農業部門のGNPが決定されるという構造を採用した。 国連の予測を利用して標準の都市化シナリオを設定した。化石燃料の消費による二酸化炭素排出量の予測は1975年を起点として2050年についてまでなされたが,標準の人口. 都市化シナリオによる予測値は1990年代についての実測値とほぼ一致し,また,気候変動に関する政府間パネルによる排出量シナリオにもそったものとなっている。人口,都市人口割合のそれぞれの2000-2025年における増加幅を変化させて2050年の予測値におよぼす影響を調べたところ,増加幅の現実的な変化に対応する二酸化炭素排出量の変化は同じ程度であることがわかった。二酸化炭素排出量を的確に予測していくためには,人口増加の動向だけでなく,産業構造変化と関係が深い都市化の動向をも綿密に観察することが有用といえよう。
  • 只木 良也, 中川 有里, 池上 博身
    2002 年 15 巻 5 号 p. 341-348
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     豊田市郊外の小里山地域(76ha)で,次のような手法によって植生の環境保全機能の相対的評価を試みた。当該現地を周知する38名の専門家に,(1)評価対象とする機能の選抜,(2)それぞれの機能の相対的重要度評価,(3)植生(地表状況)別にそれぞれの機能貢献度評価,(4)回答者の知識度(回答自信度)をアンケート調査した。(5)当該地における機能重要度を回答(2)を(4)で加重平均して決定。(6)当該地における機能別・植生別の機能相対評価点を回答(3)を(4)で加重平均して決定。全域の機能相対評価量を[(6)×(5)×当該地域の植生別面積]合計として求めた。また,地域内の機能相対評価量の水平分布をメッシュ化した図上に示した。この手法を環境影響評価の際の一手法として提案したい。
  • ―兵庫県尼崎市を事例として―
    八木 俊一
    2002 年 15 巻 5 号 p. 349-359
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     近年,特に都心部では,工場排煙による汚染濃度は減少する一方で,自動車排ガスのそれには改善の兆しが見られない。それ故,自動車排ガスを起因とする大気汚染は,現在も進行中の公害であるといえよう。そこで,これら問題を抑制するための手段として,通行車両に追加的な費用を負担させることで,交通量のコントロールを図ることを目的とした「ロードプライシング」制度の導入が検討されている。ロードプライシングの実施によって,社会的に最適な交通量を達成するには,外部費用を計測する必要がある。自動車交通に伴う汚染物質の排出は,周辺の居住者など第三者に対する典型的な外部不経済であるが,この汚染による外部費用を内部化した社会的費用を道路利用者に負担させることで,最適な交通量の達成が可能となるからである。 そこで本研究では,兵庫県尼崎市を対象に,自動車排ガスによる外部費用の計測を行なった。計測には地価と環境属性との関係を統計的に分析する手法であるヘドニック価格法を用いた,その結果,最も環境基準の緩い場合を想定したときでさえ,年間約38億円の外部費用が発生していることが明らかになった。またこの場合,通行車両1台当たりの外部費用は普通車で約74円,大型車で約341円となった。
  • 酒井 伸一, 出口 晋吾, 高月 紘
    2002 年 15 巻 5 号 p. 361-376
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     日本のバックグラウンド地域と都市・工業地域の内海・湖沼の底質コアを用いてポリ塩化ダイオキシン類(PCDDs/DFs),ポリ塩化ビフェニル(PCBs)の歴史トレンド解析を行った。底質中PCDDs/DFs濃度は全国的に1960年代に急増し,琵琶湖・大阪湾では燃焼発生源及びペンタクロロフェノール(PCP)・クロロニトロフェン(CNP)など化学薬剤による複合汚染であると推測された。PCBsについては工業地帯周辺でPCBs製品の生産・使用と一致した濃度トレンドが見られ,その異性体分布からPCBs製品の影響を強く受けており,大気を通じて広範囲に汚染が拡大していると推測された。底質濃度に加えて,堆積フラックスによる比較を行うことにより,海域・湖沼への汚染物質の集積が示唆され,日本の都市・工業地域の汚染レベルが明らかになった。
  • 稲寺 秀邦
    2002 年 15 巻 5 号 p. 377-380
    発行日: 2002/09/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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