環境科学会誌
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2 巻, 2 号
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  • 佐藤 立夫, 松本 聰, 和田 秀徳
    1989 年 2 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 1989/04/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     汚水に含まれている硝酸を脱窒によって除去する際に,脱窒菌の基質としてメタノールを添加する方法が従来行われている。しかし,著者らが水田土壌中での脱窒の研究で得た知見では,メタノールは脱窒を促進しなかった。そこで,脱窒を促進するためにメタノールを添加することに疑問を感じ,メタノールの他に,水田土壌への添加で異なる傾向を示したグルコースおよびフマル酸を添加し,それらの効果を比較・検討する実験を行った。 まず,メタノールについては,(1)メタノールは酸素が全く存在しないと脱窒菌には利用されず,脱窒もほとんど促進しないこと,(2)酸素が多少利用できる場合には,メタノールは一旦好気性菌によって資化され,資化によってつくられた炭素一炭素結合を持った有機化合物が脱窒菌に利用されることなどがわかった。メタノールが脱窒を促進する効率が低く,脱窒促進効果が現れるまでに時間がかかり,その上,多量のスカムを生成するのも,皆以上の理由によるものであると考えられた。 次に,グルコースを汚水に添加したところ,保温静置初期に,酢酸などの有機酸が多量に生成され,汚水pHの急激な低下を招き,脱窒促進の効果はフマル酸を添加したときほど迅速には起こらなかった。これは,グルコースが脱窒菌よりも発酵性の細菌によって利用され易いためであると考えられた。 一方,フマル酸の添加が汚水の脱窒を促進する効果は迅速に現れ,効率がよく,汚水濃度や培養温度によらないことが見いだされた。これはフマル酸が脱窒菌によって,脱窒の基質として速やかにかつ効率よく利用されるためであると判断された。
  • 溝口 次夫, 光本 茂記, 西川 雅高
    1989 年 2 巻 2 号 p. 87-99
    発行日: 1989/04/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     北半球中緯度地域の地上のバックグラウンドオゾンの動態を把握するために北緯28°~44°,東経128° ~143°に位置する日本列島のほぼ全域において大気の清浄な主として山岳地域にモニタリング地点を選定し,オゾンの長期間連続モニタリングを行った。オゾン計は長期間無人運転が可能で,しかも安定で信頼性の高い測定値が得られる紫外線吸収式オゾン自動測定機を用いた。これまでのモニタリングデータの解析の結果,日本列島を覆う対流圏下層のバックグラウンドオゾンの挙動に関して以下のことが明らかになった。 1)日本列島を覆う環境大気中のオゾンは例年4月,5月に月平均値が最高値を示し,7月~11月に最低値となる一山型の年変化パターンとなっている。 2)八甲田山,乗鞍岳,大台ケ原などの山岳地域では,4月,5月の月平均値がわが国の光化学オキシダントの環境基準値である60ppb(1時間値)を上回ることがある。 3)各モニタリング地点での高濃度の大部分は,高気圧圏内で下降気流によって対流圏上部から侵入するものと推測された。 4)バックグラウンド地域のオゾン濃度は,地理的条件によって3種類の日変化パターンに分類できる。 5)汚染地域から遠く離れている八甲田山,乗鞍岳,八方尾根以外のモニタリング地点では,春から夏にかけていずれも人為起源汚染の影響が風向によって生じることが明らかになった。 6)八溝山および大台ケ原での夏季の高濃度は,それぞれ関東平野南部,大阪平野からの対流圏下層の光化学オキシダントの移流によるものであることを気象データの解析から明らかにした。
  • 佐藤 一男, 佐田 幸一, 朝倉 一雄, 西宮 昌
    1989 年 2 巻 2 号 p. 101-109
    発行日: 1989/04/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     土壌汚染の現況調査では,土壌のサンプリングという行為が必然的に伴う。土壌は本来元素濃度のバラツキが大きい不均一な物質であることから,土壌のサンプリング方法と得られるデータの代表性との関係についてよく吟味しておくことが必要である。本研究では,面積が1ha(100m×100m)の土地からn試料の表層土壌を無作為にサンプリングした場合,それらの元素濃度の平均値Cnが真の元素平均濃度Cに対してもつ偏りの導出を試みた。この目的のため,4ヵ所のバックグランド地点(北海道3地点と青森県1地点)をモデル地点として選定し,それぞれ1haの土壌表層における元素濃度のバラツキを詳細に調べた。ここでは,SiとAlの主成分元素,As,Cd,Cr,Cu,Hgの微量元素を調査の対象とした。本研究で得られたCに対するCnの偏りDとサンプリング数nの関係式を以下に示す。
    ここで,σ は1haの表層土壌における元素濃度の幾何標準偏差である。本論文では,地点別・元素別にDとnの関係を求めた結果に基づいて,Dの低減化に対するnの増加の効果について考察する。さらに,土壌表層における元素濃度分布の相関性,元素の鉛直分布,大気降下物の表層土壌への影響を評価する方法として提案されている「富化判別係数」のバックグランドにおける変動について述べる。
  • 1989 年 2 巻 2 号 p. 175
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
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