環境科学会誌
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20 巻, 4 号
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  • ~E-wasteを対象として~
    吉川 拓未, 田畑 智博, 白川 博章, 井村 秀文
    2007 年 20 巻 4 号 p. 265-278
    発行日: 2007/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     近年,経済のグローバリゼーションの進展や,アジア,特に中国の経済成長に伴い,先進国から発展途上国への廃電気・電子情報機器(E-waste)の国際移動が増加している。しかしながら,発展途上国のリサイクル技術の水準は先進国に比べて低く,これに起因する不適正処理や健康被害,環境破壊などの問題が報告されている。先進国と発展途上国がWin-Winの関係を築いていくためには,動脈・静脈フローを考慮した国際資源循環の現状把握を行うとともに,資源循環の構造を持続可能なものとしていくための方向性を検討することが重要である。そこで本研究では,日本と中国,及びパーソナルコンピュータとそれに付随するE-wasteを取り上げ,動脈・静脈を考慮した日中間のパーソナルコンピュータの国際資源循環の構造を物質フローとして推計した。また,資源性として3R ,汚染性として含有有害物質,CO2排出量の評価軸指標を用いて物質フローを評価するとともに,CO2排出量の観点から合理的な国際資源循環の方向性を提案した。
  • Hiroyuki KAWASHIMA, Junko SHINDO, Masayuki HORI
    2007 年 20 巻 4 号 p. 279-289
    発行日: 2007/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     東南アジアでは経済成長に伴い一人当たり米消費量が減少し始めている。一方,米の単収は増加し続けており,今後,水田が余る事態が予想される。この余剰農地を利用すれば,森林面積を減少させることなく,エネルギー作物の生産が可能である。余剰農地は2050年においてインドネシア,マレーシア,フィリピン,タイ,ベトナムの5ヶ国合計で1,560万haと予測される。そこからサトウキビ11億8,000万トンの生産が可能である。これよりエタノールを製造すると,現在日本が原子力発電より得ているエネルギーの2.4倍のエネルギーを得ることが出来る。
  • 一生鮮食料品および飲料使用における地域・団体による差に着目して一
    中口 毅博
    2007 年 20 巻 4 号 p. 291-303
    発行日: 2007/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,食生活のプロセスごとに直接的・間接的に排出されるCO2排出量を,5つの地域・団体を対象とした食生活に関するアンケート調査に基づき分析し,生鮮食料品および飲料使用における地域・団体による差に着目した考察を行った。その結果,全体でみると間接排出量が直接排出量をやや上回る結果となったが,北海道士幌町宮崎県綾町や生活クラブ東京では直接が間接を上回り,京都府八幡市,芝浦工業大学生の世帯では間接が直接を上回った。一方,CO2排出量の最も大きい行動プロセスは食材生産であり,その次に排出量の大きいのは調理時,次いで片付け時の排出量であった。その次は貯蔵であり,さらにその次に買い物時の移動の排出量が大きかった。また,食材に付随する包装の生産時,飲料やその容器の生産時の排出量も買い物へ行くことに匹敵する排出量であった。一方食材や容器包装類の廃棄に起因するCO2排出量は,食材生産などと比べると微量であった。トータルのCO2排出量は若年単身世帯の多い大学生の世帯が少なくなったが,食材生産に伴う排出量は輸入品の比率の小さい北海道士幌町や生活クラブ東京で少なく,廃棄時の排出量は生ごみを自家処理したり分別の徹底している宮崎県綾町や北海道士幌町が少なくなる傾向がみられた。
  • 大久保 彩子
    2007 年 20 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 2007/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     海洋生物資源管理に関する国際的枠組みとして,従来,国連海洋法条約や国連公海漁業実施協定,地域的な漁業管理協定など多数の条約体制(レジーム)が構築され,あるレジームのもとで講じられた措置が,他のレジームの効果に影響を及ぼすという政策的相互連関が生じてきている。より効果的な政策実施のためには,政策的相互連関を分析したうえで,レジーム問の相乗効果を強化し,悪影響を軽減する方策を検討しておくことが必要である。本稿では,国際捕鯨規制を対象に,複数のレジーム間の政策的相互連関を分析した。国際捕鯨規制に関しては,国際捕鯨委員会の動向のみが注目されがちであるが,国連海洋法条約をはじめとする鯨類資源に関連する複数のレジーム間の相互連関を分析することで,国際捕鯨規制の実態をより包括的に把握し,今後の日本の捕鯨外交のあり方を検討するために有用な知見を得ることができる。
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