本研究では,食生活のプロセスごとに直接的・間接的に排出されるCO
2排出量を,5つの地域・団体を対象とした食生活に関するアンケート調査に基づき分析し,生鮮食料品および飲料使用における地域・団体による差に着目した考察を行った。その結果,全体でみると間接排出量が直接排出量をやや上回る結果となったが,北海道士幌町宮崎県綾町や生活クラブ東京では直接が間接を上回り,京都府八幡市,芝浦工業大学生の世帯では間接が直接を上回った。一方,CO
2排出量の最も大きい行動プロセスは食材生産であり,その次に排出量の大きいのは調理時,次いで片付け時の排出量であった。その次は貯蔵であり,さらにその次に買い物時の移動の排出量が大きかった。また,食材に付随する包装の生産時,飲料やその容器の生産時の排出量も買い物へ行くことに匹敵する排出量であった。一方食材や容器包装類の廃棄に起因するCO
2排出量は,食材生産などと比べると微量であった。トータルのCO
2排出量は若年単身世帯の多い大学生の世帯が少なくなったが,食材生産に伴う排出量は輸入品の比率の小さい北海道士幌町や生活クラブ東京で少なく,廃棄時の排出量は生ごみを自家処理したり分別の徹底している宮崎県綾町や北海道士幌町が少なくなる傾向がみられた。
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