将来の気候変動による被害の最小化には,適応策が不可欠であり,行政においては適応策を早急に施策化していく必要がある。しかし,その過程には,気候変動予測の特性による関係者の議論の停滞,関係者の当事者意識醸成の困難,適応策施策化における具体的手順の欠如などの課題が存在する。これらの課題を克服する方法論として,行政において適応策推進に携わった経験を活かしてインタラクティブ・アプローチを具体的に提案した。
インタラクティブ・アプローチは,国内で今まで提案されてきた気候変動予測を基本とした包括的なアプローチと既存施策の検証から入る個別のアプローチの併用により,適応策のよりスムーズな施策への導入を目指すものである。
本アプローチについて,海外の先進的自治体の気候変動適応担当者にヒアリングを行い,妥当性を検証した。さらに本アプローチの一部を日本の自治体でケーススタディとして実施,国内での実効性の検証を行った。
その結果,適応策を既に進めている多くの海外自治体担当者に賛同の意見を得ることができ,さらにケーススタディの結果,施策立案の方法としての可能性が示めされ,本アプローチの妥当性,実効性に一定の自信を持つことができた。
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