環境科学会誌
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32 巻 , 6 号
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一般論文
  • 中澤 暦, 永淵 修, 篠塚 賢一, 木下 弾, 西田 友規, 菱田 尚子, 三宅 隆之
    2019 年 32 巻 6 号 p. 182-192
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2019/11/30
    ジャーナル フリー

    自由対流圏における大気中水銀の動態を明らかにするため長野県と岐阜県の県境に位置する乗鞍観測所(旧乗鞍コロナ天文台;摩利支天岳山頂2,876 m a.s.l, 36°06′49″N, 137°33′19″E)において総水銀モニター計を用いた大気中総ガス態水銀(TGM)の連続観測を2012年10月および2017年9月に行った。石川県輪島測候所と和歌山県白浜測候所で得られた乗鞍観測所と同じ高度のラジオゾンデデータから計算された平均水蒸気混合比(WV)と乗鞍観測所で観測した気象データから計算したWV値を比較すると,乗鞍観測所では日中に大気境界層からの斜面上昇流の存在が示唆され,ラジオゾンデデータから計算したWV値より2012年では,26~205%,2017年では,44~175%の高いWV値が得られた。低WV値の沈降気塊は,高WV値を観測した期間に比較してTGMが低くなった。また,2012年と2017年の観測期間中のTGMとWV値の平均日周サイクルからも日中にTGM濃度の上昇が観測された。2012年と2017年のTGMの高濃度イベントを#1(2012年10月7日),#2(2017年9月15日)とし,両年の観測期間中の流跡線解析(遡上時間121時間)を乗鞍観測所の緯度経度で標高100 mから3,000 mについて100 m毎の標高で行った。その結果,#1, #2の時に乗鞍観測所に到達した気塊は,中国大陸の水銀排出量の多い地域での滞留時間がそれぞれで全遡上時間の60%と65%であり,中国大陸で長く滞留した気塊であることがわかった。

  • 中村 洋
    2019 年 32 巻 6 号 p. 193-203
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2019/11/30
    ジャーナル フリー

    モンゴルでは冬から春にかけて,寒さや積雪などの複合的な要因により,家畜が大量死する自然災害“ゾド”が発生する。ゾドは牧民の生業であり,モンゴル国の基幹産業でもある遊牧に悪影響をもたらす。先行研究から出張放牧“オトル”は,ゾドによる頭数減少を緩和する効果を有することが明らかになっている。オトルをする世帯には,頭数が多いなどの特徴があることも分かっている。ただし,都市の存在は牧民の放牧地利用を変えるほどの影響力があり,オトルにも影響を与えていることが仮定されるものの,オトルと都市の関係を明らかにした実証的な研究は十分とは言えない。本研究は,有効な牧民の災害回避行動であるオトルの実施と,都市との関係を明らかにすることを目指した。調査は,モンゴル国で2010年に発生したゾドにより,最も家畜頭数が減少したドンドゴビ県内にあり,県内最大の都市“マンダルゴビ”のあるサインツァガーン郡の牧民148世帯を対象に行った。分析の結果,県外にまで出るような長距離のオトルは,夏から秋,冬から春ともに家畜頭数の減少を緩和していた。ただし,マンダルゴビの学校に通う子どもがいる世帯は,ゾド前の夏から秋にかけて,県外に出るような長距離のオトルをしていなかった。子どもの食生活の嗜好の変化や,より進学に有利な環境を望む親の意向により,マンダルゴビ周辺に留まったものと考えられる。ゾド発生時の冬から春のオトルに関しては,労働力が不足し,遊牧経験の短い世帯は長距離のオトルをしていなかった。労働力は移動をしにくくし,遊牧経験が短いことで,寒さをしのぐ畜舎などをオトル先で借りるための調整に課題があった可能性がある。有効な災害回避行動であるオトルを,県を越えるような長い距離でできるように,夏から秋のオトルでは,社会の変化に合わせた教育環境の整備と,冬から春のオトルでは,行政等による畜舎などを借りやすくする調整が必要と考えられる。

  • 森 保文, 淺野 敏久, 前田 恭伸
    2019 年 32 巻 6 号 p. 204-213
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2019/11/30
    ジャーナル フリー

    NPOなどの組織が,ボランティアを募集する際に用いているSNSと,それによるボランティア獲得の効果を明らかにするために,二つのタイプの組織へのインタビュー調査を実施した。一つは,多くの組織の活動を支援する,いわゆる中間支援組織であった。もう一つは,ボランティアを募集している組織であった。加えて,アンケート調査によって,森林づくり団体がボランティア募集に使用しているSNSやその評価を把握した。ボランティア募集におけるSNSの情報拡散の効果を感じている組織は少なかった。現時点では,SNSのボランティア募集における効果は,HPなどのプル型の情報源と等しかった。大部分の組織は,チラシやメールマガジンなどを個人宛に直接送る従来の募集方法が重要であると判断していた。

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