環境科学会誌

持続可能社会への転換について，広く社会的支持を得ることが必要である。多数の市民を対象とするweb調査のデータを用いて，持続可能な移動手段の優遇政策に対する市民の賛否と理由および政策選択に対する考え方や日常的な道徳観との関係を分析し，賛否の状況や特徴を明らかにするとともに，持続可能な政策への支持を増やすために多様な道徳観に応じた働きかけを行うこと等を提案した。具体的には，自分の損得を気にする人には政策が自分の生活に関係することを伝えるとともに遵法意識を気にする人には政策の詳細を伝えること，多様な市民が参加する政策選択の機会を積み重ねることでまちの将来は市民がみんなで決めるものという参加意識を底上げすることが挙げられる。

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自治体の緑のカーテン普及施策の影響も含む，街なかの緑のカーテンの存在への住民による知覚が，他者の緑のカーテン実施の背景にある節電意図や施策の貢献を住民に推測させることを通じ，自宅内での節電行動の促進，温暖化防止に取組む自治体への信頼評価に与える影響を，2自治体の住民への質問紙調査データを用いた共分散構造分析により明らかにした。結果，両自治体ともに，街なかの緑のカーテンの知覚は，緑のカーテン普及施策の評価，温暖化防止政策の評価に影響を与えること，Z市では節電行動（エアコン）促進にも影響を与えること，緑のカーテン普及施策への評価は，福知山市において，温暖化防止政策に取組む自治体の能力と価値類似性の評価に影響を与えることが明らかになった。加えて，住民の緑のカーテン普及施策の認知度（低群，高群）での比較分析により，街なかの緑のカーテンの知覚は，両自治体ともに高群のみ節電行動（その他）促進に影響を与えること，Z市では高群のみ節電行動（エアコン）促進にも影響を与えること，緑のカーテン普及施策への評価は，福知山市の高群のみにおいて，温暖化防止政策に取組む自治体の能力と価値類似性の評価に影響を与えることが明らかになった。

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