汚染レベルの異なる3地域において,土壌中および大気中の揮発性有機塩素化合物(VCH)濃度の測定を行なった。土壌の場合,その試料の加熱気化成分をキャピラリーGC/MS(SIM)により分析する手法を用いて,11種類の塩素化炭化水素(ジクロロメタン,1,1-ジクロロエチレン,tyans-1,2-ジクロロエチレン,cis-1,2-ジクロロエチレン,1,1-ジクロロエタン,1,2-ジクロロエタン,クロロホルム,四塩化炭素,1,1,1-トリクロロエタン,トリクロロエチレン,エトラクロロエチレン)の分析を行なった。その結果,直接的な汚染源のない地域においてもテトラクロロエチレン等のVCHが土壌中に最高2ng/g・湿土壌の濃度レベルで存在することが明らかとなった。また,それらの鉛直濃度分布は,表層に近いほど高濃度となる傾向を示して,その起源が大気からの寄与(雨水を含む)であることが示唆された。一方,地下水汚染地域の土壌中では,トリクロロエチレン等のVCH濃度は表層より深い所で高濃度(最高114ng/g・湿土壌)となり,汚染された地下水からの直接的影響が顕著であった。
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